医療コラム

  1. HOME
  2. 医療コラム
 

COLUMN医療コラム

起立性調節障害(OD)はどう調べる?検査と治療、家庭でできること|広島市南区・宇品

起立性調節障害(OD)はどう調べる?検査と治療、家庭でできること|広島市南区・宇品

広島市南区宇品 うじな家庭医療クリニック

起立性調節障害(OD)はどう調べる?検査と治療、家庭でできること

「朝、何度声をかけても起きられない」
「立ち上がると、めまいや動悸がする」
「午前中はつらいのに、夕方になると少し元気になる」

こうした様子が続くと、お子さんもご家族も、「どうしたらよいのだろう」と不安になるかもしれません。

こうした症状の背景にある病気の一つが起立性調節障害(OD)です。思春期に多く、学校生活や日常生活に影響することがあります。「怠けている」「気合いが足りない」と決めつけず、まずは体のつらさに目を向けてみましょう。 [1, 2]

このページでは、広島市南区宇品のうじな家庭医療クリニックが、ODの検査や治療、おうちや学校でできることを、順番にご紹介します。

起立性調節障害って、どんな病気?

私たちの体は、立ち上がったときに血圧や脈拍を調整し、血液の流れを保っています。ODでは、この調整がうまく働かず、立ちくらみ、頭痛、動悸、だるさ、吐き気、朝の起きづらさなどが生じます。 [1]

立ったときに血圧が下がるタイプだけでなく、脈拍が過剰に増える体位性頻脈症候群(POTS)などもあります。座って測った血圧が正常でも、ODやPOTSが否定されるわけではありません。 [2, 3, 4]

一方で、朝起きられない原因がすべてODというわけではありません。貧血、睡眠の問題、甲状腺の病気なども含めて確認します。 [1, 2, 3]

どんな検査をするの? 3つのステップ

① まずは、症状や毎日の様子を伺います

「立ってすぐにつらくなる?」「横になると少し楽になる?」など、症状の出方は大切な手がかりです。睡眠や食事、水分の取り方、飲んでいるお薬、学校での様子なども伺います。受診前に、つらくなる時間帯や場面を簡単にメモしておくと、相談しやすくなります。 [2, 3, 7]

② 立ち上がったときの血圧・脈拍を調べます

新起立試験は、横になって十分に安静にした後、立ち上がったときの血圧や脈拍を時間を追って測る検査です。起立直後から約10分間の変化と、めまい・動悸・気分不良などの症状を確認します。 [2, 3]

血圧や脈拍の数値だけで診断するのではなく、症状や経過と合わせて判断します。検査結果には時間帯やその日の状態も影響するため、必要に応じて再検査や専門的な評価を検討します。失神の危険があるため、家庭で無理に立ち続けて自己診断しないでください。 [2, 3, 6]

③ 必要に応じて、採血や心電図を行います

貧血、脱水、甲状腺機能の異常、不整脈など、似た症状を起こす病気がないかを確認します。検査は、症状や診察の結果に合わせて選びます。すべてのお子さんに、同じ検査が必要というわけではありません。 [3, 4, 8]

治療の基本は、毎日の小さな工夫です

ODやPOTSの治療では、まず水分・食事・体の動かし方・生活環境を整えることが基本になります。一度に全部を変えようとせず、体調に合わせて、できることから取り組んでいきましょう。 [1, 2, 4]

① 水分・塩分は、その子に合った量を

脱水を避けるため、水分をこまめに取ることが大切です。食事の内容を確認し、必要に応じて塩分摂取も調整します。 [1, 2, 4]

ただし、「誰でも毎日○リットル・塩分○グラム」と一律には決めません。年齢、体格、血圧、普段の食事、心臓や腎臓の病気の有無などに応じて医師と相談しましょう。自己判断で大量の水や塩分を取ることは避けてください。 [3, 6]

② 立ち上がるときは、ゆっくりと

朝、目が覚めたときや、座った姿勢から立つときは、あわてずにゆっくり体を起こしましょう。長時間の立ちっぱなしや暑い環境、熱いお風呂での長湯は避けましょう。立っていて気分が悪くなったら、我慢しなくて大丈夫です。安全な場所で座るか横になり、転倒を防ぎましょう。 [1, 6, 8]

③ 体を動かすときも、無理のない範囲で

症状に合わせた運動は治療の一つですが、最初からランニングや長時間の運動をする必要はありません。横になった姿勢や座った姿勢での負担の少ない運動から始め、体調を見ながら調整します。 [3, 4, 6]

運動後や翌日に強いだるさが続く場合は、無理に運動量を増やさず相談してください。体調に合わせて負荷や休み方を見直すことが大切です。 [6]

④ 睡眠や衣類も、できることから見直します

寝る時間や寝る前の過ごし方を見直し、生活リズムを整えます。ただし、朝起きられないことを責める対応は避けましょう。必要に応じて、お腹や脚を圧迫する弾性着衣などを検討することもあります。 [1, 2, 4, 6]

つらさが続くときは、お薬を使うこともあります

生活上の工夫だけでは症状が十分に改善しない場合や、日常生活への支障が大きい場合には、薬を組み合わせます。血圧を支えるミドドリンなどの薬や、POTSで脈拍の増え方を抑える薬を、病型や症状に応じて検討します。 [2, 3, 4]

薬には、血圧が上がりすぎる、脈が遅くなる、だるさが出るなどの副作用があり、効果と体調を確認しながら調整します。薬によっては適応外使用となるため、使用する理由や注意点について説明を受けることが大切です。 [3, 6]

なお、日本では、ミドドリンをODに対して処方することが、一定の用法・用量のもとで保険診療の審査上認められています。「ODの薬はすべて自費」というわけではありません。 [5]

ご家庭と学校の理解が、支えになります

ODの症状は外から見えにくく、午後に元気になることで誤解される場合があります。体の不調に、周囲からのプレッシャーや学習への不安が重なることもあります。「どんなときにつらい?」と、まずは本人の感じていることに耳を傾け、安心して話せる環境をつくりましょう。 [1, 2]

例えば、登校時間の調整、休憩できる場所の確保、朝礼で座ること、水分を取ることへの配慮などを、本人・家庭・学校で相談します。登校できたかどうかだけでなく、楽に過ごせる時間や、できることが少しずつ増えているかにも目を向けましょう。 [1, 2]

回復のペースは、一人ひとり違います。周りと比べず、体の症状と気持ちの両方を支えながら、その子に合った目標を一緒に考えていきましょう。 [1, 2, 6]

こんな症状は、早めに受診してください

運動中の失神、胸痛を伴う失神、横になっているときの失神は、心臓の病気などの確認が必要です。ご家族に若くして突然亡くなった方がいる場合も、診察時にお伝えください。 [7, 8]

意識が戻らない、呼吸がおかしい、強い胸痛や息苦しさが続く場合は、救急要請(119)など、速やかな対応が必要です。

朝の不調や立ちくらみ、まずはご相談ください

うじな家庭医療クリニックでは、朝起きられない、立ちくらみ、動悸、だるさなどのご相談をお受けしています。症状と生活への影響を伺い、必要な検査や治療を検討します。専門的な評価が必要な場合は、適切な医療機関につなぎます。

「病院で相談するほどなのかな」と迷っていても、学校生活や毎日の暮らしに困ることがあれば、ご相談ください。お子さんも、ご家族も。一人で抱え込まず、一緒に考えていきましょう。

この記事は一般的な医療情報です。診断・検査・治療は、年齢や症状、持病などに応じて個別に判断します。

参考文献・参考資料

  1. 日本小児心身医学会.起立性調節障害.
  2. 石井和嘉子.「小児起立性調節障害診療ガイドライン改訂第3版」の概説.日大医学雑誌.2026;85(2):51–57.doi:10.4264/numa.85.2_51.
  3. Boris JR, Moak JP. Pediatric Postural Orthostatic Tachycardia Syndrome: Where We Stand. Pediatrics. 2022;150(1):e2021054945. doi:10.1542/peds.2021-054945.
  4. Chung TH, Raj SR. Postural Orthostatic Tachycardia Syndrome (POTS): A Review. JAMA. Published online August 24, 2026. doi:10.1001/jama.2026.14809.
  5. 社会保険診療報酬支払基金.346 ミドドリン塩酸塩(小児科58).2021年2月22日.
  6. PoTS UK. Children and Young People Consensus.
  7. Stewart JM, van Dijk JG, Balaji S, Sutton R. A framework to simplify paediatric syncope diagnosis. Eur J Pediatr. 2023;182:4771–4780. doi:10.1007/s00431-023-05114-w.
  8. The Royal Children’s Hospital Melbourne. Clinical Practice Guidelines: Syncope.

参照日:2026年9月6日