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「蕁麻疹(じんましん)が出ては消えるのを、もう何週間も繰り返している」「市販の薬を飲んでも、かゆみが治まらない」——そんなお悩みはありませんか。
蕁麻疹の多くは数日以内に自然と治まりますが、6週間以上続く場合は「慢性蕁麻疹」と呼ばれ、急性の蕁麻疹とは原因や治療の進め方が異なります。近年は治療の選択肢が広がっており、2026年6月には新しい飲み薬も国内で承認されました。
この記事では、広島市南区宇品の「うじな家庭医療クリニック」院長が、蕁麻疹の分類・原因・治療の考え方と、日常生活で気をつけたいポイントをわかりやすく解説します。
蕁麻疹とは?「急性」と「慢性」で対応が変わります
蕁麻疹は、皮膚にある「肥満細胞(マスト細胞)」からヒスタミンなどの物質が放出されることで、かゆみを伴う盛り上がった発疹(膨疹)や、まぶた・唇などの腫れ(血管性浮腫)が現れる病気です。ひとつひとつの膨疹は通常、数時間から24時間以内に跡を残さず消えるのが特徴です。
持続期間によって、次の2つに分けられます。
| 分類 | 特徴 |
|---|---|
| 急性蕁麻疹 (6週間未満) |
かぜなどの感染症、薬剤、食物などがきっかけになることがあります。多くは1週間以内に自然に軽快します。 |
| 慢性蕁麻疹 (6週間以上) |
検査をしても原因が特定できない「特発性」のことが多く、症状が数ヵ月〜数年続く場合もあります。寒冷刺激や汗、圧迫など特定の刺激で誘発されるタイプもあります。 |
「原因が食べ物のアレルギーに違いない」と思われがちですが、慢性蕁麻疹では特定の食物が原因であることはむしろ少なく、原因探しよりも症状をきちんと抑える治療を続けることが大切とされています。食物アレルギーについて詳しく知りたい方は、日本アレルギー学会が運営するアレルギーポータル「食物アレルギー」の解説もご参考ください。
慢性蕁麻疹の原因と悪化させる要因
慢性蕁麻疹の多くははっきりした原因がわからない「特発性」ですが、近年の研究では、自分の体の成分に対する免疫の反応(自己免疫的な仕組み)が一部の患者さんで関わっていることがわかってきました。また、甲状腺の病気や不安・抑うつなどを合併しやすいことも報告されています。
原因そのものではなくても、症状を悪化させる要因として次のようなものが知られています。
- ストレスや疲労、睡眠不足
- 解熱鎮痛薬(NSAIDs):慢性蕁麻疹の一部の方で悪化要因になります。解熱・鎮痛が必要なときは、影響の少ないアセトアミノフェンへの変更を検討します
- 感染症:かぜなどのウイルス感染をきっかけに悪化することがあります
- 飲酒、香辛料などの刺激物
- 入浴などによる体温上昇、締め付けの強い衣類
治療の基本は「抗ヒスタミン薬を毎日続けること」
蕁麻疹治療の第一選択は、眠気の少ない第2世代の抗ヒスタミン薬です。日本皮膚科学会の蕁麻疹診療ガイドライン2018でも、非鎮静性の第2世代抗ヒスタミン薬が基本的な治療薬として位置づけられています。
ここで大切なのは、「かゆいときだけ飲む」のではなく、症状が落ち着いていても毎日決まった量を続けることです。頓服では膨疹の出現を十分に予防できず、症状がぶり返しやすくなります。効果が不十分な場合は、薬の量の調整や別の抗ヒスタミン薬への変更・併用を検討します。
症状がよくなったからと自己判断で薬を中断すると再燃することがあります。減らすタイミング・やめるタイミングは、症状の落ち着き具合を見ながら医師と相談して決めていきましょう。
抗ヒスタミン薬で抑えられないとき——広がる治療の選択肢
抗ヒスタミン薬を適切に使っても症状が続く「難治性」の慢性蕁麻疹に対しては、保険適用の治療選択肢がこの数年で大きく広がっています。
注射のお薬(生物学的製剤)
オマリズマブ(商品名:ゾレア)は、蕁麻疹に関わるIgEという抗体のはたらきを抑える注射薬で、国内では「特発性の慢性蕁麻疹(既存治療で効果不十分な場合)」に対して成人および12歳以上の方に保険適用があります。4週間ごとに皮下注射を行い、条件を満たせば在宅での自己注射も可能です。
デュピルマブ(商品名:デュピクセント)は、アトピー性皮膚炎などで使われてきた注射薬で、2024年2月に「既存治療で効果不十分な特発性の慢性蕁麻疹」への適応が国内で追加されました。アトピー性皮膚炎に対する生物学的製剤については、こちらの記事でも解説しています(アトピー性皮膚炎の新しい治療についてはこちら)。
2026年に国内承認された飲み薬
レミブルチニブ(商品名:ラプシド)は、肥満細胞の活性化に関わる「BTK」という酵素のはたらきを抑える飲み薬で、2026年6月に「特発性の慢性蕁麻疹(既存治療で効果不十分な場合)」を対象として国内で製造販売承認を取得しました。海外の臨床試験では、投与開始から早期の症状改善が報告されています。一方で、軽度の皮下出血(点状出血)などの副作用も報告されており、使用にあたっては医師とよく相談することが必要です。詳しい情報はPMDA(医薬品医療機器総合機構)の添付文書で確認できます。
このほか、免疫を調整する内服薬(シクロスポリン)が検討される場合もありますが、腎機能や血圧への影響に注意が必要です。長期間のステロイド内服は副作用の観点から推奨されていません。どの治療が適しているかは、症状の程度・生活状況・併存疾患などをふまえて一人ひとり異なります。当院では、必要に応じて専門医療機関とも連携しながら治療方針をご提案します。
日常生活で気をつけたいこと
- 処方された抗ヒスタミン薬は、症状がない日も含めて毎日続ける
- 市販の解熱鎮痛薬を使うときは、成分を確認する(かかりつけ医・薬剤師にご相談ください)
- 長風呂・熱いお風呂、締め付けの強い衣類を避ける
- 飲酒・ストレス・睡眠不足など、ご自身の悪化パターンを把握する
- 自己判断での厳しい食事制限(除去食)は、有用性がはっきりしておらず推奨されていません
また、症状の程度を記録しておくと診療に役立ちます。1週間のかゆみ・膨疹の状態を点数化する評価法(UCTなど)もあり、治療の効果判定に活用されています。
こんなときはご相談ください
- 蕁麻疹が6週間以上続いている、繰り返している
- 市販薬や処方薬を飲んでも、かゆみで眠れない・仕事や学業に支障がある
- 唇やまぶたの腫れ(血管性浮腫)を繰り返す
- お子さんの蕁麻疹が長引いている
蕁麻疹に加えて、のどの詰まり感・息苦しさ・声のかすれ・強い腹痛・ぐったりするなどの症状がある場合は、アナフィラキシーの可能性があります。ためらわず救急要請(119番)をしてください。
うじな家庭医療クリニックでは、家庭医療専門医が大人からお子さんまで、蕁麻疹をはじめとした皮膚症状のご相談に対応しています。「たかが蕁麻疹」と我慢せず、宇品・元宇品・出島エリアでお困りの方はお気軽にご相談ください。
参考:日本皮膚科学会 一般公開ガイドライン/蕁麻疹診療ガイドライン2018(日本皮膚科学会雑誌)/PMDA 医療用医薬品添付文書
長引く蕁麻疹・かゆみのご相談は
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〒734-0003 広島県広島市南区宇品東6-2-47
内科・小児科・がん薬物療法・在宅診療
監修:瀬尾卓司(がん薬物療法専門医・家庭医療専門医)
うじな家庭医療クリニック 院長。家庭医療専門医・がん薬物療法専門医・総合診療指導医。広島市南区宇品にて、内科・小児科・がん薬物療法・在宅診療を通じ、地域の皆さまの「かかりつけ医」として幅広い健康問題に対応しています。