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「かゆみが出たら塗り薬、落ち着いたらやめる」——お子さんのアトピー性皮膚炎で、こうした対応を繰り返していませんか。じつは近年の研究では、乳幼児期の湿疹をしっかりコントロールすることが、その後の食物アレルギーやぜんそくの発症リスクにも関わる可能性が報告されています。広島市南区宇品のうじな家庭医療クリニックでは、外用薬による標準治療から生物学的製剤まで、お子さん一人ひとりに合わせたアトピー性皮膚炎の治療に取り組んでいます。
🌀 「アトピーマーチ」をご存じですか?
アトピーマーチとは、乳児期のアトピー性皮膚炎を出発点として、食物アレルギー → 気管支ぜんそく → アレルギー性鼻炎へと、年齢とともにアレルギー疾患が連鎖的に現れていく現象を指します。
そのメカニズムのひとつと考えられているのが「経皮感作」です。湿疹でバリア機能が壊れた皮膚から食物などのアレルゲンが体内に入り込むことで、アレルギー反応の準備状態(感作)が成立してしまうという考え方です。早期に発症し長く続くタイプのアトピー性皮膚炎は、食物アレルギーやぜんそくの発症と強く関連することが海外の大規模研究でも示されています。
💡 ポイント
「湿疹は皮膚だけの問題」ではありません。乳幼児期の皮膚の状態は、全身のアレルギー体質の形成に影響しうる——これが現在の小児アレルギー診療の重要な考え方です。
🧴 治療の基本は「プロアクティブ療法」
アトピー性皮膚炎の治療というと「かゆい時だけ塗る」イメージがあるかもしれません。しかし現在推奨されているのは、症状が落ち着いた後も週2〜3回、定期的に外用薬を続ける「プロアクティブ療法」です。
2024年に米国のアレルギー学会が公表した診療指針の根拠となった解析では、症状が出てから対応する方法と比べて、プロアクティブ療法は再燃(フレア)の頻度を大きく減らせることが示されています。再燃を減らすことは、より強い治療への移行や治療に伴う負担を減らすことにもつながります。
さらに注目されているのが、日本の国立成育医療研究センターを中心に行われたPACI試験の長期追跡結果です。乳児期から積極的に湿疹をコントロールした群では、通常治療の群と比べて3歳時点の食物アレルギー(特に卵アレルギー)の有病率が低かったことが2026年に報告されました。早期からの湿疹コントロールが、食物アレルギーの発症リスク低下と関連する可能性を示す重要な知見です。
📌 ご注意
一方で、ぜんそくやアレルギー性鼻炎の発症については、早期介入による明確な差は現時点で示されていません。「湿疹を治せばすべてのアレルギーを防げる」わけではなく、効果には個人差があります。治療方針は必ず主治医とご相談ください。
食物アレルギーの診断や対応について詳しくは、こちらの記事もご覧ください。
▶ 子どもの食物アレルギー——正しい診断と対応
💉 外用薬で足りないとき——生物学的製剤という選択肢
プロアクティブ療法を含む外用治療をきちんと行っても、中等症〜重症のお子さんでは十分にコントロールできないことがあります。そうしたケースで近年選択肢となっているのが、生物学的製剤(デュピルマブなど)です。
デュピルマブはアトピー性皮膚炎の炎症の中心となる経路(2型炎症)をピンポイントで抑える注射薬で、国内では生後6か月以上のアトピー性皮膚炎に保険適用があります(適応には重症度などの条件があります)。生後6か月〜6歳未満の重症のお子さんを対象とした国際共同の第III相試験では、皮膚症状だけでなく、かゆみ・睡眠・生活の質(QOL)の改善が確認されています。
さらに海外の大規模データベース研究では、生物学的製剤で治療された小児は、従来の治療と比べてその後のぜんそくやアレルギー性鼻炎の新規発症が少なかったという報告もあり、特に低年齢で治療を始めた場合にその傾向が強かったとされています。「アトピーマーチそのものを変えられるのではないか」という期待から、現在も世界中で研究が進んでいる領域です。
📌 正確に知っていただきたいこと
アトピーマーチの抑制に関する報告の多くは観察研究に基づくもので、確定的な結論はまだ出ていません。また、治療をやめた後に再燃する方も少なくないことが分かっています。効果・安全性・治療期間には個人差があり、開始や中止の判断は医師との十分な相談のうえで行います。
😴 かゆみは「眠り」と「こころ」にも影響します
アトピー性皮膚炎が子どもとご家族の生活の質に与える影響は、ぜんそくや糖尿病といった他の慢性疾患に匹敵すると報告されています。特に見逃せないのが睡眠です。アトピー性皮膚炎のお子さんの約3人に2人に睡眠の問題がみられ、日中の集中力低下や不安・抑うつとの関連も指摘されています。
また、お子さんのかゆみや夜泣きは、保護者の方の睡眠と心身の健康にも直結します。「家族みんなが眠れる夜を取り戻すこと」も、私たちが治療で目指す大切なゴールのひとつです。
お子さんの睡眠のお悩みについては、こちらの記事も参考になさってください。
▶ 子どものいびき・睡眠時無呼吸症候群について
🏥 当院の小児アトピー性皮膚炎診療
うじな家庭医療クリニックは、内科・小児科・がん薬物療法・在宅診療を行う地域のかかりつけ医です。家庭医療専門医として、お子さんの皮膚症状だけでなく、食物アレルギー・睡眠・ご家族の負担まで含めて全体を診る診療を大切にしています。
- プロアクティブ療法を軸とした外用治療の指導——塗り方・量・続け方を具体的にお伝えします
- 書面によるアクションプランの活用——「いつ・何を・どれだけ塗るか」を明確にし、ご家庭での治療継続をサポートします
- 生物学的製剤による治療——外用治療で不十分な中等症以上のお子さんには、適応を判断のうえ積極的に導入をご提案しています
- 高次医療機関との連携——専門的な検査や入院治療が必要な場合は、適切な医療機関へご紹介します
🚨 こんなときはご相談ください
- 塗り薬を続けているのに、湿疹の悪化を何度も繰り返す
- かゆみで夜眠れない、夜中に何度も起きる・かきむしる
- 特定の食べ物で発疹・嘔吐などの症状が出たことがある
- ステロイド外用薬の使い方に不安があり、自己判断で中断している
- 学校・保育園生活(プール、体育、給食など)に支障が出ている
より詳しい情報は、日本皮膚科学会や、厚生労働省研究班等が運営するアレルギーポータルもご参照ください。
お子さんのアトピー性皮膚炎・アレルギーのご相談は
関連する受診はまずは院長外来へ
院長診察日:火曜午前・水曜・木曜午後・金曜・土曜
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📍 〒734-0003 広島県広島市南区宇品東6-2-47
この記事の執筆・監修
瀬尾卓司(うじな家庭医療クリニック 院長)
家庭医療専門医・がん薬物療法専門医・総合診療指導医
広島市南区宇品東で、内科・小児科・がん薬物療法・在宅診療を行っています。