医療コラム

  1. HOME
  2. 医療コラム
 

COLUMN医療コラム

【広島市南区】CPAP保険適用が拡大|睡眠時無呼吸の検査|うじな家庭医療クリニック

「家族にいびきを指摘された」「しっかり寝たはずなのに、日中どうしても眠くなる」——こうしたお悩みの背景に、睡眠時無呼吸症候群(SAS)が隠れていることがあります。

日本では相当数の方が該当すると考えられている一方で、実際に診断・治療につながっている方はその一部にとどまるといわれています。理由のひとつは、症状が睡眠中に起きるため、ご本人が気づきにくいことです。当院では、まずご自宅でできる簡易検査から評価を始められます。

😴 睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠中に空気の通り道(上気道)が狭くなったり、ふさがったりして、呼吸が止まる・浅くなることを繰り返す状態です。呼吸が止まるたびに体は苦しくなって短く目を覚まし、そのたびに睡眠が細かく分断されます。ご本人にはその記憶が残らないため、「寝ているつもりなのに、休めていない」という状態が続きます。

起こりやすい方
肥満・首まわりに脂肪がつきやすい体型の方、あごが小さい・後ろに引っ込み気味の方、扁桃が大きい方、鼻づまりが慢性的にある方、飲酒習慣のある方などで起こりやすいとされます。ただしやせ型の方でも起こります。日本人は骨格の特徴から、体型にかかわらず起こりうることが知られています。

🔍 こんな症状はありませんか

⚠️ セルフチェック

  • 大きないびきを指摘されたことがある
  • 睡眠中に息が止まっていると言われたことがある
  • 夜中に何度も目が覚める、トイレに起きる
  • 朝起きたときに頭が重い、口がからからに乾いている
  • 日中、会議中や運転中に強い眠気に襲われる
  • 集中力が続かない、疲れが取れない
  • 血圧が高い、または降圧薬を飲んでいてもなかなか下がらない

特に「運転中に眠気を感じる」方は、早めのご相談をおすすめします。

なお、いびきを指摘してくださるのはご家族であることがほとんどです。ご本人が「そんなに気にならない」とおっしゃっていても、周囲が心配されている場合はご相談の価値があります。

🩺 放置した場合に心配されること

睡眠時無呼吸は「よく眠れない」だけの問題ではありません。夜間に繰り返される低酸素と、そのたびの交感神経の緊張が、全身に負担をかけると考えられています。

血圧・心臓・血管への影響

高血圧との関連はよく知られており、特に薬を飲んでいても血圧が下がりにくい方では、背景に睡眠時無呼吸がある可能性が指摘されています。そのほか、不整脈、心不全、脳卒中、虚血性心疾患との関連も報告されています。

糖代謝への影響

インスリンの効きにくさとの関連が報告されており、糖尿病の管理にも影響しうると考えられています。生活習慣を見直しているのに数値が思うように改善しない場合、睡眠の状態を確認してみる価値があります。

日中の眠気と事故のリスク

強い眠気は、交通事故や労働災害のリスクを高めることが知られています。お仕事で運転される方、機械を扱われる方にとっては、ご自身とまわりの方の安全に直結する問題です。

🏠 まずは、ご自宅でできる簡易検査から

当院では、入院の必要がない簡易検査を行っています。普段お休みになっているご自宅のベッドで、いつもどおりに眠っていただくだけです。

検査の流れ

1. 受診・ご相談
症状やお困りの内容をお伺いし、検査が必要かどうかを一緒に判断します。

2. 検査機器のお貸し出し
使い方をご説明のうえ、小型の機器をお持ち帰りいただきます。指と鼻にセンサーをつけるだけの簡単なものです。

3. ご自宅で1晩測定
普段どおりお休みください。睡眠中の呼吸の状態と、血液中の酸素の値を記録します。

4. 機器のご返却・結果説明
後日ご来院いただき、結果をご説明します。

5. 必要に応じて精密検査へ
簡易検査の結果によっては、より詳しく調べる精密検査(終夜睡眠ポリグラフ検査:PSG)をご案内します。脳波を含めて睡眠の質まで評価する検査です。

簡易検査は保険適用で、3割負担の方でおおよそ3,000円前後が目安です(診察料等は別途)。費用や進め方について、ご不明な点は遠慮なくお尋ねください。

💨 治療の選択肢

CPAP(シーパップ/持続陽圧呼吸療法)

中等症以上の方に対する標準的な治療です。鼻に装着したマスクから、空気の通り道が閉じないように一定の圧力の空気を送り込みます。適切に使用できている方では、いびきや日中の眠気の改善が報告されています。装着に慣れるまで時間がかかる方もおられますが、マスクの種類や圧の設定は調整が可能です。

CPAPは保険適用の治療で、機器はレンタルとなります。保険診療の対象となるかどうかは検査結果によって決まりますが、2026年6月の診療報酬改定でこの基準が緩和されました。精密検査(終夜睡眠ポリグラフ検査)ではAHI(無呼吸低呼吸指数)が20以上から15以上へ、簡易検査では40以上から30以上へと、それぞれ引き下げられています。

以前「対象外」と言われた方へ
この改定により、これまで基準にわずかに届かず治療を見送っておられた方が、対象となる可能性があります。特に大きいのは、簡易検査でAHI 30以上であれば、入院での精密検査を経ずに外来だけでCPAPを始められるようになった点です。以前に「基準を満たさないので様子を見ましょう」と説明を受けた方、簡易検査の結果が30台で精密検査をすすめられたまま受けていない方は、あらためてご相談ください。

ただし、保険適用は数値だけで自動的に決まるものではなく、症状や合併症の状況を含めて総合的に判断します。

導入後は月に一度の通院で、使用状況を確認しながら調整していきます。自己負担は3割負担の方で月々おおよそ5,000円程度が目安です。なお、保険診療を継続するには一定以上きちんと装着していることが条件となりますので、毎晩の使用を習慣にしていただくことが大切です。

治療の状況が安定してくれば、医師と相談のうえで通院間隔を延ばしたり、オンライン診療を利用したりできる場合もあります。なお、CPAPは一定期間使えば治るという治療ではなく、めがねのように毎晩付き合っていくものとお考えください。

口腔内装置(マウスピース)

軽症〜中等症の方や、CPAPの継続が難しい方の選択肢です。下あごを少し前に出した状態で固定し、気道を広げます。歯科での作製が必要となるため、適応があると判断した場合は連携医療機関をご紹介します。

生活習慣の見直し

体重管理、就寝前の飲酒を控えること、横向きで眠る工夫、鼻づまりの治療などは、いずれの治療とも並行して取り組んでいただきたい要素です。特に体重の影響は大きく、10%の体重増加があった方では、そうでない方と比べて睡眠時無呼吸を発症する危険性が6倍になるという研究が報告されています。逆に、肥満が原因の場合には体重の10%以上の減量で改善が期待できるといわれています。

🚛 運転を仕事にされている方へ

トラック、バス、タクシー、配送など、運転を職業とされている方にとって、睡眠時無呼吸は特に見過ごせないテーマです。国土交通省は「自動車運送事業者における睡眠時無呼吸症候群対策マニュアル」を公表しており、令和7年7月に内容の改訂が行われました。事業所単位でスクリーニング検査に取り組む動きは、年々広がっています。

同マニュアルでは、睡眠時無呼吸のある方の交通事故リスクは、そうでない方と比べて約2.4倍と報告されていることが示されています。また、日本の男性トラック運転者のうち中等度以上の睡眠呼吸障害がある方は、およそ7〜10%にのぼるという研究結果も紹介されています。決してまれな状態ではありません。

当院のある宇品は広島港を擁し、運送・港湾のお仕事に携わる方が多い地域です。長距離運転や早朝からの勤務、不規則なシフトが重なると、睡眠の質の低下がご自身では判断しにくくなります

「自分は眠くない」が当てにならない理由
国土交通省のマニュアルでも、必ずしも眠気を感じるとは限らない点に注意が必要だと明記されています。実際、中等度・重度の睡眠呼吸障害がある方でも、強い眠気を自覚している方は少ないという調査結果が示されています。疲労感や倦怠感を「仕事が忙しいせい」と受け止めてしまいやすいことも指摘されています。眠気の自覚がないことは、大丈夫であることの証明にはなりません。

「診断されたら仕事を続けられないのでは」と心配されている方へ

この不安から受診をためらわれる方は少なくありません。ですが、国土交通省のマニュアルには、適切に治療すれば健康な方と同じように安全運転を続けていくことができること、そして睡眠時無呼吸と判明したことを理由に直ちに運転業務から外すような差別的な扱いをしてはならないことが、はっきりと記されています。

むしろ同マニュアルが最も避けるべきとしているのは、睡眠時無呼吸であることを隠し、治療を受けないまま運転業務を続けることです。ご本人にとっても、会社にとっても、社会にとっても、それが最も危険な状態だとされています。

なお、スクリーニング検査の段階では、就労能力や乗務の可否を判断することはできません。検査はあくまで「詳しく調べる必要があるかどうか」を見きわめるためのものです。お仕事の内容や勤務形態によって事情は異なりますので、ご心配な点は診察の際に個別にご説明します。まずは状況をお聞かせください。

事業所の皆さまへ|スクリーニング検査に対応しています

当院では、運送・旅客事業者の皆さまを対象に、従業員の方への睡眠時無呼吸スクリーニング検査に対応しております。ご自宅で一晩測定していただく簡易な検査ですので、業務への負担を最小限に進めることができます。

事業者の皆さまに知っていただきたいこと

■ 報告制度が変わりました
国土交通省は、事故と睡眠時無呼吸との関係を把握するため、事故前後のスクリーニング検査の受診状況を報告するよう通達を改正し、令和7年4月から施行されています。検査の実施は、安全管理の一環として一層重要になっています。

■ 助成金の対象となる場合があります
スクリーニング検査は、国土交通省や全日本トラック協会、各都道府県のトラック協会・バス協会の助成金事業の対象となっているものがあります。詳細は所属の協会にご確認ください。

■ 検査の対象と頻度
マニュアルでは、運転者全員を対象とすることが基本とされ、頻度の目安は2〜3年に1回とされています。すでに治療中でコントロールが良好な方は対象外として差し支えないとされています。人数が多い場合は、事故やヒヤリハットの多い方、不規則勤務・夜間勤務・長距離走行のある方、肥満のある方などから優先的に進める方法も示されています。

■ 検査後のフォローまで一貫して対応します
2026年6月の診療報酬改定により、簡易検査の結果によっては入院での精密検査を経ずに外来でCPAP治療を始められるようになりました。従業員の方の業務への影響を抑えながら、検査から治療の開始・継続管理まで進めていただけます。

実施人数、費用、進め方、社内規程の整備などについてご相談を承ります。まずはお電話(082-256-4500)にてお問い合わせください。

👨‍👩‍👧 ご家族そろってご相談いただけます

睡眠時無呼吸は、ご家族のなかで複数の方に見られることが少なくありません。骨格の特徴や体質が共有されるためと考えられています。

また、お子さまのいびきが気になってご相談に来られた保護者の方が、ご自身にも同じ傾向があると気づかれることもあります。お子さまの場合は原因や対応が大人とは異なりますので、あわせてご覧ください。

関連コラム:[内部リンクURL:子どものいびきと睡眠時無呼吸]/[内部リンクURL:高血圧の治療について]

📍 宇品・元宇品・出島エリアの皆さまへ

「いびきくらいで受診してもいいのだろうか」とためらわれる方は少なくありません。ですが、睡眠時無呼吸は検査で客観的に評価でき、治療の選択肢がある状態です。まずは一度、ご相談ください。

当院は宇品東にあり、内科・小児科・がん薬物療法・在宅診療を提供しています。高血圧や糖尿病でかかりつけの方も、診察の際にお気軽にお声かけください。

うじな家庭医療クリニック

〒734-0003 広島県広島市南区宇品東6-2-47
TEL:082-256-4500
診療科目:内科・小児科・がん薬物療法・在宅診療

参考情報

監修

瀬尾 卓司(せお たくじ)

家庭医療専門医・がん薬物療法専門医・総合診療指導医
うじな家庭医療クリニック 院長
広島市南区宇品東6-2-47/TEL:082-256-4500