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【広島市南区】熱中症に解熱剤はNG?正しい水分補給法|うじな家庭医療クリニック
「熱中症で頭が痛いから、ロキソニンを飲んでおこう」——実はこれ、医学的には推奨されない対処法です。2024〜2025年に相次いで発表された国際的な治療ガイドラインでは、熱中症に対する解熱鎮痛薬の使用を避けるべきと明記されました。広島でも連日厳しい暑さが続くこの時期、正しい知識で自分と家族を守りましょう。この記事では、熱中症のときに「やってはいけないこと」と「本当に効く対処法」を、最新の医学的エビデンスに基づいて解説します。
🚫 熱中症に「解熱剤・痛み止め」が効かない理由
かぜやインフルエンザの発熱には、アセトアミノフェン(カロナール等)やNSAIDs(ロキソニン等)といった解熱鎮痛薬が使われます。しかし熱中症の高体温は、発熱とはまったく別のしくみで起こります。
💡 発熱と熱中症のちがい
発熱=脳(視床下部)が体温の設定を「上げている」状態 → 解熱剤で設定を戻せる
熱中症=体の設定は正常のまま、外からの熱と運動の熱が「こもっている」状態 → 解熱剤では下がらない
米国集中治療医学会(SCCM)の2025年熱射病治療ガイドラインでは、体温を下げる目的でのアセトアミノフェン・NSAIDs・サリチル酸製剤の使用を避けるべきと推奨しています。効果を示す根拠がないだけでなく、熱中症でダメージを受けやすい臓器に、さらに負担をかけるおそれがあるためです。
⚠️ 解熱鎮痛薬がかえって危険になりうる理由
熱中症では脱水や高体温により、腎臓・肝臓・血液のはたらきが低下しやすくなっています。そこに、NSAIDsによる腎障害・出血傾向の悪化、アセトアミノフェンによる肝障害の悪化が重なるリスクが指摘されています。頭痛や筋肉痛といった痛みをやわらげる目的であっても、熱中症のさなかの使用は推奨されません。
🧊 本当に効くのは「冷やすこと」——薬より冷却
熱中症治療の主役は薬ではなく冷却です。重症の熱射病では、いかに早く体温を下げられるかが命を左右します。ニューイングランド医学誌(NEJM)の総説では、30分以内に体温を38〜39℃まで下げることが目標とされています。
✅ 現場でできる冷却法
① 涼しい場所へ移動し、衣服をゆるめて横になる
② 全身に水をかけて、うちわ・扇風機で風を送る(気化熱で冷やす)
③ 首・わきの下・足のつけ根に氷のうや冷たいペットボトルを当てる
④ 意識がはっきりしていれば、冷たい水分・塩分を少しずつ補給する
🥤 正しい水分・塩分補給——「水だけ」も実は危険
意識がはっきりしている軽症〜中等症の熱中症では、口から飲む水分補給が第一選択です。ただし、大量に汗をかいたあとに「水だけ」を大量に飲むと、血液中の塩分(ナトリウム)が薄まり、低ナトリウム血症という別の危険な状態を招くことがあります。マラソンランナーでは最大7%にみられたという報告もあり、症状が熱中症とよく似ているため注意が必要です。
スポーツ医学の各ガイドラインが推奨する水分補給の目安を表にまとめました。
| タイミング | 推奨される補給 |
|---|---|
| 運動の2〜3時間前 | 体重1kgあたり約6mLの水分(体重50kgなら約300mL) |
| 運動中(1時間未満) | 水のみで十分 |
| 運動中(1時間以上・暑熱下) | 塩分・糖分入りの飲料(ナトリウム460〜690mg/L程度。多くの市販スポーツドリンクが該当) |
| 運動後 | 減った体重の100〜150%の水分を、塩分・糖分・たんぱく質とともに補給 |
🏠 家庭でできる「手作り塩分補給水」
水1リットルに、食塩を小さじ1/4〜1/2ほど溶かし、砂糖数さじ、またはオレンジ・レモン果汁を加えると飲みやすくなります。スポーツドリンクがないときの応急対応として覚えておくと安心です。水と塩けのあるスナック(塩むすび・梅干しなど)の組み合わせも同じように有効です。
朝いちばんの尿の色(濃い黄色は脱水のサイン)、のどの渇き、体重の変化の3つは、水分が足りているかを判断するシンプルで有効な指標です。部活動や屋外作業が続く時期は、毎朝チェックする習慣をつけましょう。
🚨 ためらわず救急車を——危険なサイン
次のサインが1つでもあれば、すぐに119番通報を
☑ 呼びかけへの反応がおかしい・意識がもうろうとしている
☑ 自分で水分を飲めない・吐いてしまう
☑ 体が熱いのに汗が出ていない、体温が40℃近い
☑ けいれんを起こしている
☑ 涼しい場所で休んでも症状がよくならない
救急車を待つ間も冷却を続けてください。「冷やしながら待つ」ことが救命につながります。
🏥 広島市南区・宇品で熱中症の相談なら当院へ
「熱中症のあとから頭痛やだるさが続く」「持病や飲んでいる薬があり、暑さ対策に不安がある」——そんなときは、我慢せずご相談ください。高血圧の薬や利尿薬など、薬の種類によっては熱中症のリスクが高まることが知られており、夏場の内服調整について医師と確認しておくことは有効な予防策です。当院は内科・小児科・在宅診療に対応しており、お子さまからご高齢の方まで、ご家族全員の「夏の体調管理」をサポートします。
部活動に取り組む学生さんの暑さ対策については、こちらの記事もあわせてご覧ください:部活動中の熱中症を防ぐには/お子さまの発熱との見分け方については 子どもの発熱、受診の目安 も参考になります。
【参考にした主な情報源】
・環境省 熱中症予防情報サイト(暑さ指数WBGTの確認はこちら)
・厚生労働省 熱中症予防のための情報・資料サイト
・Society of Critical Care Medicine 熱射病治療ガイドライン(Critical Care Medicine, 2025)
・Wilderness Medical Society 熱中症予防・治療ガイドライン2024年改訂版
・Sorensen C, et al. Treatment and Prevention of Heat-Related Illness. New England Journal of Medicine, 2022
・Gauer RL, et al. Heat-Related Illnesses. American Family Physician, 2026
※本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個々の患者さんの診断・治療に代わるものではありません。症状がある場合は医療機関にご相談ください。市販薬の使用については、薬剤師または医師にご確認ください。
監修:瀬尾卓司(がん薬物療法専門医・家庭医療専門医)
うじな家庭医療クリニック
診療科目:内科・小児科・がん薬物療法・在宅診療
〒734-0003 広島県広島市南区宇品東6-2-47
TEL:082-256-4500