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「ニキビは青春のシンボルだから、病院に行くほどではない」——そう思って市販薬だけで様子を見ていませんか。ニキビ(医学的には尋常性ざ瘡・じんじょうせいざそう)は、皮膚科学会がガイドラインを整備しているれっきとした皮膚の病気で、保険診療で治療を受けることができます。
2023年に日本皮膚科学会の「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」が公表され、2024年には米国皮膚科学会(AAD)も新しいガイドラインを発表しました。この記事では、広島市南区宇品の家庭医の立場から、日本と米国のガイドラインを比較しながら、いま日本で受けられるニキビ治療の考え方をわかりやすく解説します。
ニキビ(尋常性ざ瘡)はどうしてできる?
ニキビは、主に次の3つの要素が重なって発症すると考えられています。
- 皮脂の分泌が増える(思春期のホルモン変化などが影響します)
- 毛穴の出口が詰まる(角化異常により「面皰(めんぽう)=コメド」ができます)
- アクネ菌が増えて炎症が起こる(赤ニキビ・膿をもったニキビに進行します)
重要なのは、赤く腫れたニキビの「前段階」として、目に見えにくい毛穴詰まり(微小面皰)がすでに広がっているという考え方です。日本のガイドラインは、この「見えない毛穴詰まりの段階からケアする」という発想を治療の柱に据えており、ここが後述する「維持療法」につながります。
日本のガイドライン2023の基本方針
日本皮膚科学会のガイドライン2023では、ニキビ治療を大きく「急性炎症期」と「維持期」の2段階に分けて考えます。
① 急性炎症期:赤ニキビ・膿ニキビをしっかり抑える
炎症のあるニキビに対しては、過酸化ベンゾイル(BPO)を含む外用薬が治療の中心です。具体的には、アダパレンと過酸化ベンゾイルの配合ゲル、クリンダマイシンと過酸化ベンゾイルの配合ゲルなどが用いられ、炎症が強い場合にはドキシサイクリンなどの内服抗菌薬を外用薬と組み合わせます。
② 維持期:炎症が落ち着いた後こそ治療の続けどき
赤みが引いた後も、毛穴詰まり(面皰・微小面皰)は残っています。ここで治療をやめてしまうと再発を繰り返しやすいため、アダパレンや過酸化ベンゾイルによる「維持療法」を続けることが推奨されています。「治ったらおしまい」ではなく「再発しにくい肌を保つ」という発想が、2016年版から続く日本のガイドラインの大きな特徴です。
③ 抗菌薬は「だらだら使わない」
飲み薬・塗り薬の抗菌薬を長期間使い続けると、薬剤耐性菌(薬が効きにくいアクネ菌)が増える心配があります。このため日本のガイドラインでは、内服抗菌薬の使用期間をおおむね3か月以内を目安として区切り、炎症が落ち着いたら抗菌薬を含まない維持療法へ切り替える流れが基本とされています。
米国AADガイドライン(2024)と比べてみると
米国皮膚科学会(AAD)の2024年ガイドラインでも、外用の過酸化ベンゾイド・レチノイド(アダパレンなど)・外用抗菌薬・内服ドキシサイクリンが強く推奨されており、治療の土台は日米でほぼ共通です。抗菌薬の使用期間を限定すること、抗菌薬と過酸化ベンゾイルを併用して耐性菌を防ぐことも、両国共通の考え方です。
一方で、日本と米国では使える薬に違いがあります。
| 治療 | 米国(AAD 2024) | 日本の現状 |
|---|---|---|
| アダパレン・過酸化ベンゾイル・配合外用薬 | 強く推奨 | 保険診療で使用可能(治療の中心) |
| 内服抗菌薬(ドキシサイクリンなど) | 強く推奨 | 保険診療で使用可能(期間限定が原則) |
| 経口イソトレチノイン | 重症・難治例に強く推奨 | 国内未承認(保険診療では使用できません) |
| ホルモン療法(低用量ピル・スピロノラクトン) | 条件付きで推奨 | ニキビに対する保険適用はなし |
米国で重症例の切り札とされるイソトレチノインは、催奇形性(妊娠中の使用で胎児に重い影響が出るおそれ)をはじめ管理の難しい副作用があり、日本では承認されていません。個人輸入での使用は安全管理の面から強くおすすめできません。日本では「承認されている薬を、正しい組み合わせと期間で使い切る」ことが治療成功の鍵になります。海外の研究では、外用レチノイド単剤でも12週間で病変数が6割程度減少したという報告もあり、標準的な外用治療を根気よく続ける価値は十分にあります。
治療を続けるコツ:最初の2〜4週間が正念場
アダパレンや過酸化ベンゾイルは、使い始めの時期にヒリヒリ感・乾燥・赤みが出ることがあります。ここで自己判断で中止してしまうケースが非常に多いのですが、多くは使い続けるうちに軽くなっていきます。
- 洗顔は1日2回、こすらずやさしく
- 保湿剤を併用して刺激をやわらげる
- 塗る量・塗る範囲・塗る頻度は医師の指示どおりに(「ニキビの点」ではなく「面」で塗るのが基本です)
- つらい刺激症状が続くときは中断する前にご相談を
アトピー性皮膚炎など、もともと肌が敏感な方は特に導入のペース調整が大切です。ガイドラインの詳しい内容に関心のある方は、日本皮膚科学会が公開している「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」(PDF)もご参照ください。
こんなときは受診をおすすめします
- 市販薬を1〜2か月使っても良くならない
- 赤いニキビ・膿をもったニキビが多発している
- ニキビ跡(凹み・色素沈着)が残り始めている
- ニキビが気になって人前に出るのがつらい、気分が沈む
- フェイスラインのニキビを繰り返す(大人ニキビ)
ニキビ跡(瘢痕)は、一度できると元に戻すことが難しくなります。日米どちらのガイドラインも、瘢痕や心理的な負担を伴うニキビは早期にしっかり治療すべきという立場です。「たかがニキビ」と我慢せず、跡が残る前にご相談ください。
家庭医だからできるニキビ診療
当院は内科・小児科の家庭医療クリニックですが、ニキビはガイドラインに沿った標準治療の多くをプライマリ・ケアの外来で保険診療として行うことができます。思春期のお子さんの場合、ニキビの相談と一緒に、睡眠・食事・学校生活の悩みまでまとめて相談できるのは家庭医ならではです。また、重症例や特殊な治療(ホルモン療法の検討、瘢痕への処置など)が必要と判断した場合は、皮膚科専門医への紹介も責任をもって行います。なお、本記事で紹介したガイドラインは、公益財団法人日本医療機能評価機構のMindsガイドラインライブラリにも収載されている、国内標準の診療指針です。
宇品・元宇品・出島エリアでニキビにお悩みの方は、まずは院長外来でお気軽にご相談ください。
ニキビのご相談は、まずは院長外来へ
繰り返すニキビ・ニキビ跡が心配な方は、お早めにご相談ください。
院長診察日:火曜午前・水曜・木曜午後・金曜・土曜
お電話でのご予約:082-256-4500
うじな家庭医療クリニック
〒734-0003 広島県広島市南区宇品東6-2-47
監修:瀬尾 卓司(せお たくじ)
うじな家庭医療クリニック 院長
家庭医療専門医・がん薬物療法専門医・総合診療指導医
広島市南区宇品東で、内科・小児科・がん薬物療法・在宅診療を提供する家庭医療クリニックの院長。お子さんから高齢の方まで、地域の「かかりつけ医」として幅広い健康相談に対応しています。