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【広島市南区】がん遺伝子検査の機会を逃さないために|うじな家庭医療クリニック

この記事でお伝えすること

がんの遺伝子検査は「受けたかどうか」だけでなく、いつ受けるか、そして結果を治療にどうつなげるかで価値が大きく変わります。最近、「遺伝子検査を適切な時期に提案しないことが、患者さんの治療機会を失わせるのではないか」という問題提起が医療界で注目されています。本記事では、その議論を患者さんの目線で整理し、検査の機会を逃さないためにできることと、当院で行っているがん遺伝子検査についてご紹介します。

「検査を提案されなかった」ことが問われる時代に

医療データの活用に取り組む企業が2026年9月に公開したコラムでは、がんゲノム医療が標準治療に組み込まれつつある今、検査を適切な時期に提案しないことや、結果が治療に結びつかないまま放置されることが「治療機会の逸失」として問われうる、という論点が紹介されています。

海外では、遺伝子検査を行わずに分子標的薬を使った事例や、検査結果を待たずに治療を始めた事例などが医療訴訟で争われていることが報告されています。欧米では「Loss of Chance(機会喪失)」という考え方、つまり「適切な対応があれば、より良い結果を得られた可能性があった」こと自体を保護しようとする考え方が議論されています。

ただ、このコラムが強調しているのは「医師個人の責任追及」ではありません。検査のタイミング、結果の読み解き、治療や治験への接続といった情報がバラバラに存在していることで、真剣に診療している医師であっても提案漏れが起きうる「仕組みの課題」だという指摘です。

当院がこの話題を取り上げるのは、不安をあおるためではありません。患者さんご自身が「こういう検査がある」「この時期に相談できる」と知っておくことが、機会を逃さないいちばん確かな方法だと考えているからです。

がんの遺伝子検査にはいくつか種類があります

「がんの遺伝子検査」とひとくちに言っても、目的によって種類が異なります。主なものを整理すると次のとおりです。

検査の種類 何を調べるか・目的
コンパニオン診断 特定のお薬が使えるかどうかを判断するために、1つ〜少数の遺伝子を調べます。肺がんや乳がん、大腸がんなどでは、治療開始前から保険診療で行われています。
がん遺伝子パネル検査
(包括的ゲノムプロファイリング)
がん細胞の多数の遺伝子変化を一度に調べ、使える可能性のあるお薬や治験を探します。がんの組織を使う検査と、血液を使う検査があります。
血液によるがんのモニタリング・検診 血液中に流れ出たがん由来のDNAを調べ、手術後の再発のモニタリングや、がん検診の補助に用いる検査です。
遺伝性腫瘍の検査 生まれつき持っている遺伝子の変化(がんになりやすい体質)を調べます。ご家族にも関わるため、遺伝カウンセリングとあわせて行います。

がんゲノム医療の全体像は、国立がん研究センターのがん情報サービス「がんゲノム医療とがん遺伝子検査」や、広島県のがん情報ページ(がんゲノム医療)でも解説されています。

保険のパネル検査には「受けられる時期」の決まりがあります

がん遺伝子パネル検査は2019年から保険診療で受けられるようになりました。ただし保険で受けられるのは、原則として標準治療が終了した、または終了が見込まれる固形がんの方(標準治療のない希少がん・原発不明がんを含む)で、実施できるのは国が指定したがんゲノム医療中核拠点病院・拠点病院・連携病院に限られています。

2026年度の診療報酬改定では、専門家会議(エキスパートパネル)の運用が見直され、結果が出るまでの流れを効率化する方向が示されました。一方で、検査の対象となる時期そのものは変わっておらず、患者団体や学会などからは「もっと早い段階で受けられるようにすべき」という提言が続いています。

「標準治療が終わる見込み」という時期は、体力や全身状態が落ちてきていることも少なくありません。検査結果が出たときには、見つかった治療や治験に進むだけの体力が残っていなかった——という状況は、がん診療の現場で繰り返し指摘されてきた課題です。広島県内の実施医療機関は、国立がん研究センターがんゲノム情報管理センター(C-CAT)のページで確認できます。

機会が失われやすい3つの場面

先のコラムの指摘を患者さんの目線に置き換えると、治療の機会が失われやすいのは次の3つの場面です。検査から治療までは一続きの流れなので、どこか1か所で途切れると、検査の価値が生かされません。

1

検査を受ける時期を逃す

治療が順調に進んでいる間は、次の一手の準備は後回しになりがちです。「そろそろ標準治療の終わりが見えてきた」という時期に、パネル検査の話題が出ないまま過ぎてしまうことがあります。

2

結果が治療に結びつかない

検査で「候補となるお薬や治験あり」と分かっても、治験の実施施設や参加条件の確認まで進まないことがあります。実際に結果に基づく治療に進めるのは、検査を受けた方の一部にとどまると報告されています。

3

結果の読み解きが難しい

遺伝子の変化には、治療に直結するものもあれば、意味がはっきりしないものもあります。専門的な解釈を、患者さんが理解できる言葉で説明してもらう機会が大切です。

主治医に確認しておきたい4つの質問

  • 私のがんで、これまでにどの遺伝子検査を受けていますか?
  • がん遺伝子パネル検査は、私の場合いつ頃が検討のタイミングですか?
  • 検査に使える組織は残っていますか? 血液での検査も選択肢になりますか?
  • 検査結果で治験の候補が見つかった場合、どこで相談できますか?

こうした質問をすることは、主治医を疑うことではありません。忙しい外来の中で、大切な話題を見落とさないための「共同作業」です。聞きにくいと感じる場合は、かかりつけ医に相談するのもひとつの方法です。

当院の役割:がん治療の「つなぎ役」として

うじな家庭医療クリニックは、がん薬物療法専門医と家庭医療専門医の両方の視点を持つかかりつけ医として、がんサバイバー外来を行っています。がん治療そのものは病院の主治医が担い、当院はその治療が途切れないよう支える役割です。

  • 検査の時期を一緒に考える:これまでの治療経過を伺い、パネル検査を検討する時期について主治医と相談できるよう整理します。
  • 実施施設へつなぐ:保険のパネル検査が適する場合は、主治医と連携しながらがんゲノム医療の実施医療機関での相談につなげます。
  • 結果をわかりやすく説明する:検査結果の意味や、候補となる治療・治験について、患者さんとご家族が理解できるまでご説明します。
  • 必要に応じて専門医と連絡をとる:各臓器の専門医と連絡をとりながら、お一人ずつに合わせた治療を検討します。

当院で受けられるがん遺伝子検査

Guardant360® CDx(血液によるがん遺伝子パネル検査)

Guardant360® CDxは、血液中に流れ出たがん由来のDNA(ctDNA)を調べる、血液を用いたがん遺伝子パネル検査です。国内で承認された検査で、指定された医療機関では条件を満たせば保険診療で行われます。当院では、再発が確認された固形がんの方を対象に、この検査を自費診療で行っています。

対象再発が確認された固形がんの方(医師が適応を判断します)
検体採血のみ(組織の再生検は不要です)
結果までの目安約3〜4週間
費用590,000円(税込・自費)
診察料・結果説明料を含みます。クレジットカードでのお支払いが可能です。

保険のパネル検査は「標準治療の終了(見込み)」まで待つ必要がありますが、自費の検査であれば、再発が分かった段階で遺伝子の情報を得て、今後の治療や治験の選択肢を早めに検討する材料にできる可能性があります。なお、当院で自費の検査を受けた方も、標準治療終了後に実施医療機関で保険のパネル検査を受けることは可能です(詳細は実施医療機関の判断によります)。

検査の詳しい流れはがん遺伝子パネル検査の自費診療で解説しています。

そのほかの血液によるがん検査

当院では、目的に応じて次の血液検査も自費診療で行っています。いずれも「がん遺伝子パネル検査」とは目的が異なります。

検査 目的 費用(税込)
Guardant Reveal™ 手術などの治療後に、血液中のがん由来DNAを調べ、再発の兆候をモニタリングする検査です。
詳しくはこちら
【料金要確認】
Guardant Shield™ 採血で大腸がんの可能性を調べる検査です。大腸内視鏡検査の代わりになるものではなく、陽性の場合は大腸内視鏡検査が必要です。
詳しくはこちら
【料金要確認】

【承認状況の記載要確認:Guardant Reveal™/Guardant Shield™の国内承認の有無・入手経路・国内の同等品の有無・諸外国での安全性情報】

3つの検査の使い分けは広島でがん遺伝子検査の選択肢を(Guardantシリーズの解説)でもまとめています。まだがんと診断されていない方は、まずご自身に合ったがん検診を確認しましょう。がん検診セルフチェックで年齢やリスクに応じた検診の目安を確認できます。

自費の遺伝子検査を受ける前に知っておいていただきたいこと

  • 治療に結びつく変化が見つからないことがあります。検査を受けても、使えるお薬や治験の候補が見つからない場合があります。
  • 血液検査ならではの限界があります。血液中のがん由来DNAが少ない場合、遺伝子の変化を検出できないことがあります。また、加齢に伴う血液細胞の変化が結果に影響する可能性があります。
  • 候補のお薬が保険で使えるとは限りません。見つかったお薬が、あなたのがんの種類では承認されていない場合や、治験の参加条件を満たさない場合があります。
  • 生まれつきの体質が示唆されることがあります。その場合は、ご希望に応じて遺伝カウンセリングを受けられる医療機関をご紹介します。
  • 主治医との相談を大切にしています。検査結果は、現在治療を受けている病院の主治医と共有し、今後の方針を一緒に検討することをおすすめしています。

※本検査は自費診療です。費用は上記のとおりで、検査の適応は診察のうえ医師が判断します。検査の結果や治療の効果には個人差があり、すべての方に治療の選択肢が見つかるわけではありません。

まとめ

  • がん遺伝子検査は、受ける時期と結果の活かし方で価値が変わります。
  • 検査の提案漏れは医師個人の問題というより、情報が分断されていることによる「仕組みの課題」だと指摘されています。
  • 患者さんご自身が「どんな検査があるか」「いつ相談できるか」を知り、主治医に質問することが、機会を逃さない助けになります。
  • 当院では、自費のGuardant360® CDx検査を含め、検査の時期の検討から結果の説明、実施医療機関へのご紹介まで、病院の主治医と連携しながらお手伝いしています。

「自分の場合、遺伝子検査はいつ考えればいいのか」「受けた検査の結果をもう一度説明してほしい」——そんなご相談も歓迎しています。広島市南区・宇品エリアにお住まいの方はもちろん、市外からのご相談もお受けしています。

参考資料

1. 株式会社CLINIAL. ゲノム医療を提案しないことは、医療過誤になりうるか. note. 2026年9月23日.

2. Wagner JK, Meyer MN. Genomic medicine and the “loss of chance” medical malpractice doctrine. Hum Genet Genomics Adv. 2021;2:100032.

3. Luo J, Zheng Z, Yu R. Analysis of medical malpractice liability disputes related to novel antineoplastic drugs and research on risk prevention and control strategies. PLOS ONE. 2023;18:e0286623.

4. 国立がん研究センター がん情報サービス「がんゲノム医療とがん遺伝子検査」

がん遺伝子検査のご相談は、まずは院長外来へ

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院長診察日:火曜午前・水曜・木曜午後・金曜・土曜

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TEL:082-256-4500
所在地:〒734-0003 広島県広島市南区宇品東6-2-47
診療科目:内科・小児科・がん薬物療法・在宅診療

監修:瀬尾卓司(がん薬物療法専門医・家庭医療専門医・総合診療指導医)

うじな家庭医療クリニック 院長。沖縄県立中部病院、亀田総合病院、国立がん研究センター、国立国際医療研究センターで研修・勤務ののち広島へ。がん治療と地域のかかりつけ医療をつなぐ「オンコジェネラリスト」として、がんサバイバーの方の診療に取り組んでいます。