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広島市南区宇品で、子どもから高齢者まで地域のかかりつけ医として診療を行っています。
「朝、何度起こしても起きられない」「学校に行きたいのに体が動かない」「立ち上がるとふらつく、頭が痛い」——思春期のお子さまに、こんな症状はありませんか?
これは「怠けている」「サボっている」のではなく、起立性調節障害(OD:Orthostatic Dysregulation)という身体の病気かもしれません。中学生の約10%、高校生の約15%にみられるとされ、不登校の背景にしばしば隠れています。
このコラムでは、広島市南区・宇品エリアの保護者の方とご本人に向けて、家庭医の視点からODの基本と対応をまとめます。
起立性調節障害(OD)とは
ODは、自律神経のバランスが乱れて立ち上がったときに血圧や心拍を適切に調節できなくなる病気です。思春期の急激な身体の成長に自律神経の発達が追いつかないことが背景にあると考えられています。
ODの本質は「脳への血流不足」です。立ち上がると重力で血液が下半身に溜まるため、本来は自律神経が血管を収縮させて脳への血流を保ちます。これがうまくいかないと、立ちくらみ・頭痛・倦怠感などの症状が出ます。
典型的な症状
- 朝起きられない(最も多い症状。本人も起きたいのに起きられない)
- 立ちくらみ・めまい
- 朝の倦怠感、だるさ
- 頭痛(特に午前中)
- 動悸・息切れ
- 食欲不振、腹痛
- 乗り物酔いしやすい
- 顔色が悪い
- 午後〜夕方になると元気になる(これがODの大きな特徴)
- 夜になると眠れない・寝つきが悪い
「夕方は元気だから怠けているように見える」というのが、保護者・先生に誤解されやすい最大のポイントです。本人は朝に体が動かないことに最も苦しんでいます。
「怠け」「気持ちの問題」ではない
ODは身体の病気です。本人の意思や根性ではどうにもなりません。「気合が足りない」「もっと早く寝なさい」と叱責されると、自己肯定感が下がり、二次的にうつ・不安症状を併発することが少なくありません。まず保護者と学校が「これは病気である」と理解することが治療の第一歩です。
ODの4つのタイプ
ODは医学的に4つのサブタイプに分類されます。診断には新起立試験(しんきりつしけん)と呼ばれる血圧・心拍の測定検査が必要です。
| タイプ | 特徴 |
|---|---|
| 起立直後性低血圧 | 立ち上がった直後に血圧が大きく下がる |
| 体位性頻脈症候群(POTS) | 立位で心拍数が極端に上昇(成人で30/分以上、思春期で35/分以上) |
| 血管迷走神経性失神 | 急に血圧が下がり失神する |
| 遷延性起立性低血圧 | 立位で時間をかけてゆっくり血圧が下がる |
サブタイプによって治療法が少しずつ異なるため、正確な診断が大切です。
家庭でできる7つの対応(生活療法)
ODの治療の基本は生活療法です。薬よりも生活の工夫のほうが効果が大きいことが知られています。
- 起立はゆっくり:寝床から急に立ち上がらず、ベッドの上で30秒、座って30秒、それから立ち上がる
- 水分を1日1.5〜2L以上:循環血液量を増やすため
- 塩分を多めに:1日10g程度(高血圧でなければ通常より多めでOK)
- 規則正しい生活:夜更かしを避け、朝同じ時間に光を浴びる(カーテンを開ける)
- 適度な運動:歩行・水泳・自転車など下半身の筋肉を使う運動。寝たままできるストレッチも有効
- 弾性ストッキング:下半身の血液貯留を減らす。スポーツ用のコンプレッションタイツで代用可能
- 暑い場所・長時間立位を避ける:満員電車・朝礼などに注意
薬物療法が必要なケース
生活療法で十分に改善しない場合、医師の判断で薬物療法を併用します。代表的な薬は:
- ミドドリン塩酸塩(メトリジン®):血管を収縮させて血圧を上げる
- プロプラノロール(インデラル®):頻脈タイプに使用
- 漢方薬(補中益気湯・苓桂朮甘湯など):体力や症状に合わせて選択
薬は数週間〜数か月かけて効果を判断します。自己判断で中止せず、医師と相談しながら調整してください。
学校との連携が回復を早める
ODの回復には、学校との連携が極めて重要です。「無理して登校させる」ことが回復を遅らせるケースが多くあります。
- 遅刻・早退・別室登校への配慮
- 体育・朝礼・体育祭などでの長時間立位を避ける
- 本人の状態に合わせた段階的な登校(午後だけ・週2回からなど)
- 進路選択(高校・大学)で自由度の高い学校・通信制も選択肢に
診断書をご希望の場合は、診察のうえで作成いたします。学校・進路相談の場で活用してください。
回復までの見通し
ODは多くの場合、思春期を過ぎると自然に改善します。ただし回復には個人差が大きく、数か月で良くなる子もいれば、数年かかる子もいます。「いつか必ず良くなる」という見通しを家族で共有することが、本人の心の支えになります。
焦って結果を求めず、その時その時にできることを一緒に考えていきましょう。
こんなときはご相談を
- 朝起きられない状態が1か月以上続いている
- 立ちくらみ・頭痛・倦怠感が続く
- 不登校気味になっている
- 本人が「だらしない子」と思われ自己肯定感が下がっている
- 頭痛薬・睡眠薬の自己判断使用が増えている
うじな家庭医療クリニックの思春期外来
当クリニックは広島市南区宇品東で、家庭医療専門医が思春期のお子さまの心身両面に対応しています。OD以外にも、思春期に多い頭痛・腹痛・過敏性腸症候群・睡眠の問題・気分の落ち込みなど、専門科にまたがる症状をワンストップで診療できるのが家庭医療の強みです。
お子さまだけでなく、保護者の方のご相談も歓迎します。「これは何科にかかればいいのだろう」と迷う段階こそ、家庭医にお任せください。
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TEL:082-256-4500
診療科目:内科・小児科・がん薬物療法・在宅診療
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※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断・治療を代替するものではありません。気になる症状がある場合は医療機関にご相談ください。