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日光過敏症に注意すべきお薬は?広島市南区・宇品の院長が解説|うじな家庭医療クリニック

こんにちは、うじな家庭医療クリニック(広島市南区宇品)院長の瀬尾卓司です。

「いつも飲んでいる薬を内服してから、日に当たるだけで赤くなったり、湿疹が出るようになった」——こうしたご相談は、外来でも在宅医療の現場でも意外と多くいただきます。これは「薬剤性光線過敏症」と呼ばれる副作用で、特定の薬を服用・使用している方が紫外線を浴びることで皮膚症状が出現するものです。

春から初夏にかけて紫外線量が増えるこの時期、特に注意が必要です。本コラムでは、日常診療でよく処方される薬剤のうち、光線過敏症を起こしやすいものをまとめてご紹介します。

薬剤性光線過敏症とは?

薬剤性光線過敏症は、内服薬や外用薬に含まれる成分が皮膚に到達し、紫外線(特にUVA)と反応することで生じる皮膚反応です。大きく分けて以下の2つのタイプがあります。

  • 光毒性反応:薬剤と紫外線が反応して直接皮膚を傷害するタイプ。日焼けのような赤み・水疱・色素沈着が出現します。誰にでも起こり得ます。
  • 光アレルギー反応:免疫が関与するタイプ。湿疹のようなかゆみを伴う皮疹が、日光に当たった部位を中心に広がります。体質による個人差があります。

顔・首・手の甲・前腕など、衣服で覆われていない部位に症状が出やすいのが特徴です。

注意が必要な代表的な薬剤

1. 抗菌薬(特に頻度が高い)

  • テトラサイクリン系:ドキシサイクリン、ミノサイクリンなど。ニキビ治療やマイコプラズマ感染症で処方されます。
  • ニューキノロン系:レボフロキサシン、シプロフロキサシンなど。膀胱炎や呼吸器感染症で頻用されます。
  • ST合剤(バクタ®/バクトラミン®):尿路感染症や肺炎予防で使用されます。

2. 降圧薬・利尿薬(長期内服のため要注意)

  • サイアザイド系利尿薬:ヒドロクロロチアジド(多くの降圧合剤に含まれます)。近年は長期内服で皮膚がんリスクが上がるとの報告もあります。
  • ループ利尿薬:フロセミド
  • カルシウム拮抗薬:アムロジピン、ニフェジピン
  • ARB:バルサルタン、イルベサルタンなど

降圧薬は何年も継続して服用される方が多いため、「以前は問題なかった」方でも、ある時期から発症することがあります。

3. 鎮痛薬・湿布薬(市販品にも注意)

  • ケトプロフェン外用薬(モーラステープ®など):最も注意が必要な外用薬の一つです。貼付部位はもちろん、剥がした後も約4週間は紫外線を避ける必要があります。
  • ピロキシカム、ジクロフェナク、ナプロキセンなどのNSAIDs

湿布を貼った腕や腰だけが強く赤く腫れて来院されるケースは珍しくありません。「湿布を貼っていた場所」を屋外で露出しないよう、衣服や日焼け止めでカバーすることが重要です。

4. 抗不整脈薬・循環器薬

  • アミオダロン:心房細動などで使用される薬剤です。長期使用で顔面に青灰色の色素沈着が出現することがあり、特徴的です。

5. 精神神経系薬

  • フェノチアジン系(クロルプロマジン)
  • 三環系抗うつ薬
  • 一部の睡眠薬(ゾルピデムなど)

6. がん薬物療法(抗がん剤)に関連する薬剤

がん治療中の方は、治療薬そのものに加え、皮膚バリアの低下も相まって光線過敏が出やすくなります。

  • フッ化ピリミジン系:5-FU、カペシタビン(ゼローダ®)、ティーエスワン®
  • メトトレキサート
  • 分子標的薬:ベムラフェニブ、エルロチニブ、イマチニブなど
  • ボリコナゾール(抗真菌薬):長期投与で光線過敏に加え、皮膚がんリスクも上昇するため、移植後の患者さんなどでは特に注意が必要です。

当院では、がん治療中・治療後の皮膚トラブルへのケアにも力を入れています。詳しくはがん診療コラムもあわせてご覧ください。

こんな症状が出たら受診を

  • 顔や手の甲、襟元など露出部位だけが赤く腫れる
  • 普段より強く日焼けしたような感覚がある
  • 水ぶくれやかゆみのある湿疹が出現した
  • 湿布を貼っていた部分が、剥がした後に赤く腫れた

これらの症状が出た場合は、自己判断で薬を中止せず、まずはかかりつけ医にご相談ください。原因薬剤の特定と、必要に応じた代替薬への変更を検討します。

予防のためのポイント

  1. UVA対応の日焼け止めを使用する:薬剤性光線過敏は主にUVAが原因のため、PA+++以上のものを選びましょう。
  2. 物理的な遮光を併用する:長袖・帽子・日傘・サングラスを活用してください。
  3. 外出時間を工夫する:紫外線が最も強い10〜14時の外出を控えることも有効です。
  4. 薬の中止後もしばらく注意:薬剤によっては、内服中止後も数日〜数週間は光線過敏が続くことがあります。特にケトプロフェン外用、アミオダロン、ボリコナゾールでは要注意です。
  5. 処方時に薬剤師・医師に確認する:新しい薬を処方された際は、光線過敏のリスクについて確認しましょう。

紫外線対策の具体的な方法については、紫外線ケアに関するコラムも参考になりますので、あわせてご覧ください。

広島市南区・宇品エリアでお薬の相談なら

広島は中国地方の中でも紫外線量が比較的多い地域です。長期に内服している薬がある方、特に高齢で複数の薬を服用されている方は、春先からの紫外線対策を意識していただくと安心です。

うじな家庭医療クリニックでは、内服薬の見直し(ポリファーマシー対策)や、副作用に関するご相談にも丁寧に対応しています。「最近、肌が日焼けしやすくなった気がする」「飲んでいる薬と関係があるのか心配」といったお悩みも、お気軽にご相談ください。在宅医療を受けておられる患者さんやご家族からのご相談も、訪問時に承っています。

がん治療後の皮膚ケアについては、当院併設のCancer Refresh Beauty Programでも、KYPROSと連携した専門的なサポートを行っています。


監修

瀬尾 卓司(せお たくじ)
うじな家庭医療クリニック 院長
総合内科専門医・がん薬物療法専門医・家庭医療専門医

国立がん研究センター中央病院での勤務経験を活かし、広島市南区宇品にて、がん診療と家庭医療を融合した地域医療を実践しています。外来診療・在宅医療・救急対応の3本柱で、地域の皆様の健康をサポートしています。

〒734-0003 広島市南区宇品
TEL:082-256-4500