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夏の脱水・熱中症から子どもを守る|広島市南区・宇品の小児診療|うじな家庭医療クリニック

監修:瀬尾 卓司(せお たくじ) うじな家庭医療クリニック 院長/家庭医療専門医・がん薬物療法専門医・総合診療指導医
広島市南区宇品で、子どもから高齢者まで地域のかかりつけ医として診療を行っています。

広島の夏は年々厳しさを増しています。気温だけでなく湿度の高さも相まって、子どもは大人以上に脱水・熱中症のリスクが高くなります。「水筒を持たせていたから大丈夫」と思っていても、屋外活動・通学・スポーツ・車内放置など、危険な場面は意外と多いものです。

このコラムでは広島市南区・宇品エリアの保護者の方に向けて、家庭医の視点から「子どもの脱水・熱中症の見分け方」「家庭でできる予防と応急処置」「受診の判断基準」をまとめました。

なぜ子どもは脱水・熱中症になりやすいのか

子どもの体は大人と比べて熱中症リスクが高い構造になっています。

  • 体重あたりの体表面積が大きいため、外気温の影響を受けやすい
  • 汗腺の発達が未熟で、体温を下げる発汗機能が大人より弱い
  • 身長が低いため、地面に近い分だけ路面の照り返しを強く受ける(アスファルトの照り返しは身長1m以下の子どもで+2℃以上ともいわれる)
  • のどの渇きを自分で訴えにくい(特に乳幼児)
  • 遊びに夢中になり、水分補給を忘れる

つまり、「大人が涼しい」と感じていても、子どもにとっては危険な暑さであることが珍しくありません。

脱水・熱中症の症状を3段階で見分ける

重症度 主な症状 対応
I度(軽症) めまい・立ちくらみ・こむら返り・大量の発汗 涼しい場所で休ませ、経口補水液を飲ませる
II度(中等症) 頭痛・吐き気・嘔吐・倦怠感・集中力低下 医療機関を受診。自分で水分が摂れなければ点滴が必要
III度(重症) 意識障害・けいれん・体温40℃以上・呼びかけに反応しない 119番(救急車)。冷却を開始しながら待機

家庭で気づきたい脱水のサイン

こんなサインがあれば脱水を疑う
  • 半日以上おしっこが出ていない(乳児は6時間以上)
  • 泣いても涙が出ない
  • 唇や舌が乾いている
  • 目がくぼんで見える
  • 大泉門(赤ちゃんの頭のやわらかい部分)がへこむ
  • 皮膚をつまんで離してもしばらく戻らない(ツルゴール低下)
  • 普段より元気がなく、ぐったりしている

経口補水液の正しい使い方

軽度〜中等度の脱水には、経口補水液(ORS:OS-1®、アクアライトORS®など)が最も効果的です。スポーツドリンクとは目的が異なるので使い分けましょう。

飲料 適した場面 特徴
経口補水液 脱水・熱中症・嘔吐下痢時 電解質が多く糖分が少ない。吸収速度が速い
スポーツドリンク 運動中の水分補給 糖分が多く、脱水時には濃すぎることがある
麦茶・水 日常の水分補給 電解質を含まない。大量摂取時は要注意

飲ませ方のコツ

  • 少量ずつ・頻回に:5〜10mLを5〜15分おきに与える(一気飲みすると吐きやすい)
  • 常温〜やや冷たい温度がベスト
  • 嘔吐があれば30分ほど休んでから再開
  • 飲めなければ無理せず受診

熱中症の応急処置:冷却の優先順位

意識がしっかりしている場合の応急処置は「涼・冷・水」の3原則です。

  1. 涼しい場所へ移動:屋内・エアコンの効いた車内・木陰など
  2. 衣服をゆるめて体を冷やす:首・脇の下・足の付け根(太い血管が通る場所)に保冷剤や濡らしたタオルを当てる
  3. 水分・塩分補給:経口補水液を少量ずつ

意識がはっきりしない・けいれん・体温が下がらない場合は、迷わず119番。救急隊到着までの間、可能な限り冷却を続けてください。

こんなときに受診を検討

受診の目安
  • 水分を飲ませても全部吐いてしまう
  • 半日以上おしっこが出ていない
  • ぐったりして反応が鈍い
  • 頭痛・嘔吐が続く
  • 体温が38.5℃以上で下がらない
  • 「いつもと様子が違う」と感じる

意識障害・けいれん・呼びかけに反応しない、これらは救急車を呼ぶレベルです。判断に迷ったらこども医療電話相談(#8000)にご相談ください。

予防のポイント:暑さ指数(WBGT)を活用する

気温だけでなく、湿度・輻射熱を含めた「暑さ指数(WBGT)」が熱中症リスクの指標として広く使われています。環境省の「熱中症予防情報サイト」で広島市の値が確認できます。

  • WBGT 28℃以上:厳重警戒。激しい運動は中止
  • WBGT 31℃以上:危険。原則として運動は中止

日常の予防チェックリスト

  • 外出前に水分を摂ってから出る(のどが渇いてからでは遅い)
  • 通学・公園・スポーツでは経口補水液を1本持たせる
  • 帽子・通気性の良い衣服を着用
  • ベビーカーは地面の照り返しが強いので保冷シート等で対策
  • 車内に子どもを残さない(短時間でも危険)
  • 就寝時もエアコンを我慢せず、適切に使用

うじな家庭医療クリニックの夏の小児診療

当クリニックは広島市南区宇品東で、夏の脱水・熱中症はもちろん、夏かぜ三兄弟(手足口病・ヘルパンギーナ・プール熱)、とびひ、あせも、虫刺されなど、夏に多い小児疾患全般に対応しています。点滴が必要なレベルの脱水にも院内で対応可能です。

「水分が摂れない」「ぐったりしている」「いつもと違う」と感じたら、早めにご相談ください。

うじな家庭医療クリニック 〒734-0003 広島県広島市南区宇品東6-2-47
TEL:082-256-4500
診療科目:内科・小児科・がん薬物療法・在宅診療
クリニック公式サイトアクセス・診療時間受診・予約のご案内

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断・治療を代替するものではありません。お子さまの症状でご心配がある場合は、医療機関を受診してください。