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【広島市南区・宇品】膵がんmRNA血液検査(パンレグザ®)のご案内|うじな家庭医療クリニック
「膵がんは見つかったときには手遅れ」——そんな話を耳にしたことはありませんか。膵がんは日本人のがん死亡原因の第4位を占め、5年生存率は依然として10%前後と、すべてのがんの中でも最も予後の厳しいがんの一つです。早期に発見できれば手術による根治の可能性が大きく広がりますが、初期の膵がんはほとんど症状がなく、従来の腫瘍マーカー(CA19-9)だけでは早い段階で見つけることが難しいのが現状でした。
そうした中、日本で初めて「がん特異的な遺伝子発現パターン検出キット」として薬事承認を受けた血液検査が登場しました。それが「膵がんmRNA血液検査(パンレグザ®)」です。
うじな家庭医療クリニック(広島市南区宇品)では、広島市南区で先進的にこの検査を導入し、ご家族に膵がんの既往がある方、糖尿病をお持ちの方、慢性膵炎やIPMN(膵管内乳頭粘液性腫瘍)でフォロー中の方など、膵がんリスクが気になる方に向けて、自費診療メニューとしてご提供しています。
膵がんはなぜ「早期発見が難しい」のか
膵臓は胃の裏側、体の深部に位置する臓器で、その解剖学的特徴から早期にはほとんど症状を出しません。腹痛や黄疸、体重減少といった症状が現れたときには、すでに進行していることが大半です。さらに、膵がんは進行が早く、診断から数か月で病状が大きく変化することも珍しくありません。
従来から膵がんのスクリーニングに使われてきたのが腫瘍マーカー「CA19-9」ですが、CA19-9は早期膵がんでは陽性にならないことも多く、また膵炎や胆管炎など良性疾患でも上昇するため、単独では早期発見の手段として限界がありました。
パンレグザ®とは何か——「mRNAの発現パターン」を読む新しい検査
パンレグザ®は、株式会社キュービクスが開発し、カイゲンファーマ株式会社が販売する体外診断用医薬品です。2019年に膵がんの診断補助を目的として、日本で初めて「がん特異的な遺伝子発現パターン検出キット」として薬事承認を取得しました(承認番号:30400EZX00046000)。
従来の腫瘍マーカーが「がん細胞が出すタンパク質の量」を測定するのに対し、パンレグザ®は全血中のmRNA(メッセンジャーRNA)の発現パターンを読み取ります。膵がん患者さんの血液中では、複数の遺伝子の発現パターンが健常者や良性疾患の方とは異なることが報告されており、その違いをリアルタイムPCR法で検出する仕組みです。
つまり、パンレグザ®は「がん細胞そのもの」ではなく、「膵がんがある体の中で起きている遺伝子発現の変化」を捉える検査と言えます。これは従来の腫瘍マーカーとは独立した新しい原理であり、CA19-9と組み合わせることで診断補助の精度を高めることが期待されています。
検査の性能——感度85.2%、特異度86.7%
パンレグザ®の臨床性能試験では、膵がん患者54例、慢性膵炎患者22例、IPMN患者25例、健常者103例を対象に検査が実施されました。その結果、パンレグザ®とCA19-9を併用した場合、膵がん(全ステージ)に対する感度は85.2%、特異度は86.7%という成績が得られています。
重要なポイントは、対照群に健常者だけでなく慢性膵炎やIPMNといった「膵がんと紛らわしい良性疾患」も含まれていることです。これらの良性疾患でも陽性になる可能性はゼロではありませんが、それらを含めた上での特異度86.7%は、臨床的に意味のある数値といえます。
また、パンレグザ®はCA19-9との相関が低いことが確認されており、「CA19-9が正常でも膵がんが見つかる可能性がある症例」を拾い上げることが期待される設計になっています。
こんな方におすすめする検査です
パンレグザ®は、特に以下のような膵がんリスクをお持ちの方への検査としてお勧めしています。
家族歴のある方:第一度近親者(親・きょうだい・子)に膵がんの方がいる場合、膵がん発症リスクは一般の方の数倍に上昇することが知られています。家族性膵がんの家系では、複数のご家族に膵がん歴がある場合もあり、こうした方はより慎重なフォローアップが必要です。
糖尿病を新たに発症した方:50歳以上で新規に糖尿病を発症した方の中には、膵がんが背景に潜んでいるケースが含まれることが報告されています。特に痩せ型で、家族歴のない糖尿病新規発症の場合は注意が必要です。
慢性膵炎でフォロー中の方:慢性膵炎は膵がんのリスクファクターであり、定期的な評価が推奨されます。
IPMN(膵管内乳頭粘液性腫瘍)をお持ちの方:IPMNは膵がんの前がん病変としての側面を持ち、また併存膵がんのリスクも高いとされます。画像検査でのフォローに加え、補助的な評価としてご活用いただけます。
遺伝性のがんリスクをお持ちの方:BRCA1/2などの遺伝子変異をお持ちの方は、乳がん・卵巣がんに加えて膵がんのリスクも上昇することが分かっています。
「がん家系」で漠然とした不安をお持ちの方:明確なリスク因子はなくとも、人間ドックの一環として総合的な評価をご希望の方にもご利用いただけます。
うじな家庭医療クリニックでの検査の流れ
当クリニックでは、以下の流れで検査をご提供しています。
① ご予約・事前ご相談
お電話または受付にてご予約ください。事前にリスクの状況や、検査の意義についてご相談を承ります。
② 採血
専用の採血管(パクスジーン®RNA採血管)を使用し、CA19-9も同時に採血します。所要時間は通常の採血と変わりません。なお、免疫抑制剤、副腎皮質ホルモン剤、抗悪性腫瘍剤を服用中・投与中の方は、正しい結果が得られない可能性があるため、事前にお申し出ください。
③ 検査の実施
採血した検体は委託検査会社にて、リアルタイムPCR法によるmRNA発現パターンの解析と、CA19-9測定が行われます。
④ 結果のご説明
結果が出ましたら、外来にて医師より丁寧にご説明します。陽性となった場合には、腹部CT、腹部超音波、MRI/MRCP、必要に応じて超音波内視鏡(EUS)など、画像検査による精査を関連医療機関と連携して進めます。
費用について
パンレグザ®は保険適用外のため、自費診療となります。
検査費用:66,000円(税込)
※ CA19-9測定費用および検査手技料を含むパッケージ価格です。
大切な注意点——この検査の限界について
パンレグザ®は優れた検査ですが、以下の点はご理解いただいた上でご検討ください。
第一に、陽性になっても膵がんと確定されるわけではありません。慢性膵炎やIPMNなどの類縁疾患でも陽性になる可能性があり、最終的な診断には画像検査や、場合によっては組織検査が必要です。
第二に、陰性であっても膵がんを完全に否定できるわけではありません。特に早期の小さな膵がんでは、検出できない可能性があることが添付文書にも明記されています。陰性は「現時点で膵がんを示唆する所見が見られなかった」という意味であり、症状がある場合や高リスクの方は、画像検査と組み合わせた継続的なフォローが大切です。
第三に、診断は本検査の結果のみで行うものではなく、他の関連検査結果や臨床症状とあわせて、医師が総合的に判断します。
これらは、検査をきちんと活用していただくために必要なお話です。検査の意義と限界の両方をご理解いただいた上で、私たちは患者さんお一人おひとりにとって最適な活用方法をご提案します。
がん専門医による責任ある運用
当クリニックでは、検査の実施だけでなく、結果の解釈・説明・その後のフォローアップまで一貫してがん薬物療法専門医・家庭医療専門医による対応を行っています。陽性結果が出た場合の精査連携、陰性結果でも残るリスクへの長期的なフォロー、そして検査をきっかけとした生活習慣の見直しなど、検査を「点」ではなく「線」として位置づけたサポートを大切にしています。
また、当院では膵がんを含むがん全般について、外来化学療法、がんサバイバーシップ外来、在宅医療、緩和ケアまで切れ目なく対応しています。万が一、検査をきっかけに膵がんが見つかった場合でも、診断から治療、その後の生活までを継続的にサポートできる体制を整えています。
関連コラム
膵がんリスクや、がん遺伝子検査、家族性のがんリスク評価については、以下のコラムもあわせてご参照ください。
- がん全般のコラム一覧
- BRCA1/2遺伝子検査と遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)について
- マルチ遺伝子パネル検査(MGPT)について
- がんサバイバーシップ外来のご案内
お問い合わせ・ご予約
パンレグザ®による膵がんmRNA血液検査をご希望の方、検査について詳しくお聞きになりたい方は、お気軽に当クリニックまでお問い合わせください。広島市南区・宇品エリアからはもちろん、広島市内全域、安芸郡、廿日市市など周辺地域からも多くの方にご利用いただいています。
ご家族に膵がんの方がいて不安をお持ちの方、人間ドックの一環として膵がんリスクを評価したい方、すでに慢性膵炎やIPMNでフォローを受けている方、どうぞお気軽にご相談ください。
うじな家庭医療クリニック
広島市南区宇品
診療科目:内科・家庭医療・がん薬物療法・在宅医療
予約・お問い合わせ:クリニックホームページよりご確認ください
監修:瀬尾 卓司
うじな家庭医療クリニック 院長
日本専門医機構認定 がん薬物療法専門医/日本プライマリ・ケア連合学会認定 家庭医療専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医