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2026年5月29日〜6月2日、米国シカゴで世界最大のがん治療学会ASCO(米国臨床腫瘍学会)年次総会が開催されました。3,000を超える研究発表の中で、今年とくに印象的だった流れのひとつが、「治療を適切に減らす(デエスカレーション)」という考え方です。
「がん治療は強ければ強いほど良い」と思われがちですが、最新の研究は必ずしもそうではないことを示しつつあります。がん薬物療法専門医の視点から、患者さんに知っていただきたいポイントを解説します。
🎗 「減らす」研究が注目された背景
抗がん剤治療には吐き気、脱毛、しびれ、感染症のリスクなど、さまざまな副作用が伴います。もし「抗がん剤を使わなくても再発リスクが十分低い人」を事前に見分けられれば、その方は副作用を避けながら同じ治療成績を期待できることになります。
今年のASCOでは、早期乳がんの患者さんを対象に、遺伝子検査(ゲノム検査)の結果に基づいて化学療法を省略できるかどうかを検証する大規模な第3相試験(OPTIMA試験)が発表され、大きな話題となりました。腫瘍の性質を検査で見極め、「全員に同じ治療」ではなく「その人に必要な治療だけ」を届ける——個別化医療の流れを象徴する研究です。
ポイント:「治療を減らす」のは手抜きではなく、科学的根拠に基づいて副作用と効果のバランスを最適化するという考え方です。自己判断での減量・中断とはまったく異なります。
🔬 「増やす」研究も進んでいます
一方で、再発リスクの高いがんに対しては、新しい薬剤や組み合わせで治療成績を高める研究も多数報告されました。つまり最新のがん治療は、「リスクの低い人には少なく、高い人にはしっかりと」という方向に進化しています。その見極めの鍵になるのが、遺伝子検査やバイオマーカー検査です。
💬 患者さんに知っていただきたい3つのこと
- 治療方針に疑問があれば、遠慮なく主治医に質問してください。「この治療は私に本当に必要ですか?」は、今や当然の質問です。
- 自己判断で治療を減らしたり中断したりしないでください。「減らせるかどうか」は検査と専門的な評価に基づいて判断されるものです。
- セカンドオピニオンや、治療と生活の両立の相談も選択肢です。当院ではがん薬物療法専門医が、大病院での治療内容についてのご相談や、治療中の体調管理・支持療法を地域で支えています。
がん治療中の夏の体調管理については、関連コラム「がん治療中の夏—脱水・熱中症を防ぐポイント」もご覧ください。がんの早期発見にご関心のある方は「血液でがんリスクを調べる時代へ?」もどうぞ。
📍 がん治療のご相談は、うじな家庭医療クリニックへ
がん薬物療法専門医が、治療中の体調管理から治療に関するご相談まで、地域のかかりつけ医として伴走します。
うじな家庭医療クリニック(内科・小児科・がん薬物療法・在宅診療)
〒734-0003 広島県広島市南区宇品東6-2-47
TEL:082-256-4500
この記事の監修
瀬尾 卓司(うじな家庭医療クリニック 院長)
家庭医療専門医・がん薬物療法専門医・総合診療指導医
内科・小児科・がん薬物療法・在宅診療
〒734-0003 広島県広島市南区宇品東6-2-47/TEL:082-256-4500