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広島県内では、令和8年6月4日から「手足口病警報」が発令されています。2年ぶりの警報発令となり、例年8月にかけて流行のピークを迎えるため、保育園・幼稚園に通うお子さんのいるご家庭では特に注意が必要な時期です。
広島市南区・宇品エリアでも、当院に「口の中が痛くて食べられない」「手足に発疹が出た」といったご相談が増えています。この記事では、家庭医療専門医・小児科診療の視点から、受診の目安・おうちでのケア・登園の再開時期まで、保護者の方が知っておきたいポイントを整理しました。大人がかかったときの注意点や、治った1〜2か月後に起こる「爪が剥がれる」現象についても解説します。
この記事でわかること
- 広島県の手足口病警報の現状
- 症状の経過と、おうちでできるケア
- すぐに受診・救急を考えるべきサイン
- 保育園・幼稚園はいつから行けるのか
- 大人がかかったときの注意点
📢 広島県内は「手足口病警報」が発令中です
広島県感染症・疾病管理センター(ひろしまCDC)によると、第22週(5月25日〜5月31日)に福山市保健所管内で定点当たり報告患者数が警報開始基準値である5を上回ったため、令和8年6月4日に県内全域へ手足口病警報が発令されました。その後も警報は継続しています。
💡 警報の基準
発令:県内いずれかの保健所管内で、定点当たり報告患者数が5以上になったとき
解除:県内すべての保健所管内で、定点当たり報告患者数が2未満になったとき
国内における手足口病の流行のピークは夏季です。夏休みが明けて集団生活が再開する時期にも感染が広がりやすく、秋口までは注意が必要とされています。最新の発生状況は、広島県のウェブサイトでご確認いただけます。
▶ 「手足口病警報」を発令しています(広島県感染症・疾病管理センター)
🦶 手足口病とはどんな病気?
手足口病は、その名のとおり手・足・口の中の粘膜などに水疱性の発疹があらわれる急性のウイルス感染症です。原因となるのはコクサッキーウイルスA16型やエンテロウイルス71型などで、近年はコクサッキーウイルスA6型による流行もみられます。
乳幼児を中心に流行し、多くは数日〜1週間程度で自然によくなる予後の良い病気です。ただし、まれに髄膜炎や急性脳炎を起こすことがあり、なかでもエンテロウイルス71型は中枢神経系の合併症の発生率が他のウイルスより高いとされています。
典型的な経過
| 時期 | おもな症状 |
|---|---|
| 感染から3〜5日 | 潜伏期間。症状はありません |
| 発症初日〜2日 | 微熱や食欲低下。口の中に痛みのある小さな水疱・潰瘍ができます |
| 2〜3日目 | 手のひら・足の裏・おしり・ひざなどに発疹が広がります |
| 3〜7日目 | 発疹が乾いて落ち着き、多くは自然に軽快します |
発熱がみられるのは全体の3分の1程度で、高い熱が長く続くことは多くありません。高熱が2日以上続く場合は、ほかの病気の可能性も含めて一度ご相談ください。
🚨 すぐに受診・救急を考えるサイン
手足口病でもっとも多いトラブルは、口の痛みで水分がとれなくなることによる脱水です。以下にあてはまる場合は、早めに医療機関を受診してください。
⚠️ このサインがあれば受診を
- 水分をほとんど受けつけない/飲んでも吐いてしまう
- おしっこが半日以上出ていない、量が明らかに少ない
- 唇や口の中が乾いている、涙が出ない、ぐったりしている
- 38.5℃以上の発熱が2日以上続く
- 強い頭痛、何度も繰り返す嘔吐
- 視線が合わない、呼びかけへの反応が鈍い、うとうとして起きない
- けいれんを起こした
- 手足に力が入らない、歩き方がふらつく
- 呼吸が速い、息苦しそうにしている
※ けいれん・意識がはっきりしない・呼吸が苦しそうな場合は、夜間でも救急受診をご検討ください。
夜間・休日に迷ったときは
広島市こども救急電話相談(#8000)でも、受診の目安について相談することができます。
🥤 おうちでのケア ― 食べられないときの工夫
手足口病にはウイルスそのものを退治する薬やワクチンはなく、症状をやわらげながら回復を待つケアが中心になります。もっとも大切なのは水分をこまめにとることです。口の中が痛いときは、しみにくいものを選んであげてください。
| ⭕ しみにくく、おすすめ | ❌ しみやすく、避けたい |
|---|---|
| 経口補水液(常温〜やや冷たく) 牛乳・豆乳 プリン・ゼリー・アイス 冷ましたおかゆ・豆腐 バナナ・にゅうめん |
オレンジなど柑橘系のジュース 酸味の強いもの(トマト・酢の物) 熱いもの、湯気の立つもの 塩気・香辛料の強いもの せんべいなど硬いもの |
口の痛みが強くて飲めないときは、痛み止めの使い方を工夫することで水分がとれるようになる場合があります。市販薬の自己判断での使用は避け、ご不安なときは受診時にご相談ください。また、食べられない日が続いても、水分がとれていれば数日は大きな心配はいりません。
🏫 保育園・幼稚園はいつから行ける?
保護者の方からもっとも多いご質問です。手足口病は学校保健安全法で出席停止期間が定められている病気ではありません。「発疹が完全に消えるまで休ませなければならない」という決まりもありません。
その理由は、症状が治まった後も2週間から4週間にわたって便の中にウイルスが排泄され続けるためです。長期間の登園停止をしても、集団感染を防ぐ効果は限られていると考えられています。
✅ 登園再開の一般的な目安
- 熱が下がっている
- 口の中の痛みがやわらぎ、普段どおりの食事がとれる
- 全身の状態が安定し、元気に過ごせている
ただし、園ごとに独自のルールを設けている場合があります。登園許可証や意見書の提出が必要かどうかは、通われている園に直接ご確認ください。当院でも必要に応じて書類を作成しています。
👨👩👧 大人がかかると、つらくなることがあります
「子どもの病気」というイメージが強い手足口病ですが、大人も感染します。看病をしていた保護者の方が数日遅れて発症するケースは決してめずらしくありません。
大人の場合、お子さんよりも症状が強く出ることがあります。高い熱、強い全身のだるさ、関節や筋肉の痛み、そして手のひらや足の裏の発疹が痛くて歩きにくい・物が持ちにくいといった訴えがみられます。仕事や家事に支障が出るほどつらい場合は、無理をせずご相談ください。
妊娠中の方へ
妊娠中の手足口病がお腹の赤ちゃんに与える影響については、まだはっきりと分かっていない部分があります。ただし出産直前の感染では、生まれた赤ちゃんに感染が及ぶ可能性が指摘されています。妊娠中にご家族が発症した場合は、手洗いを徹底したうえで、かかりつけの産婦人科にもご相談ください。
💅 治った1〜2か月後、爪が剥がれることがあります
手足口病が治って1〜2か月ほど経ってから、手足の爪が浮き上がって剥がれてくることがあります。「爪甲脱落症(そうこうだつらくしょう)」と呼ばれる現象で、コクサッキーウイルスA6型による流行のあとに多くみられます。
突然のことに驚かれる保護者の方が多いのですが、痛みはほとんどなく、新しい爪が下から伸びてきて自然に生え替わります。数か月かけて元どおりになるため、特別な治療は必要ありません。剥がれかけた爪が引っかかる場合は、短く整えてあげてください。
ただし、爪のまわりが赤く腫れている・膿が出ている・強い痛みがある場合は、細菌感染を起こしている可能性があります。この場合は自己判断せず受診してください。
🧼 家庭内でうつさないための対策
手足口病は、咳などによる飛沫感染、便に排泄されたウイルスによる経口感染、水疱の内容物による接触感染で広がります。アルコール消毒が効きにくいウイルスのため、石けんと流水での手洗いが基本です。
- おむつ交換やトイレのあとは、石けんで丁寧に手を洗う
- おむつは袋に入れて口を閉じてから捨てる
- タオルの共用をやめ、ペーパータオルを使う
- コップ・スプーン・箸などの食器を共用しない
- プールやおうちの水遊びの前後は、タオルの使い回しに特に注意する
- 症状が治まった後も、2〜4週間は手洗いを続ける
❓ よくあるご質問
Q. 一度かかれば、もうかかりませんか?
原因となるウイルスが複数あるため、別のウイルスによって何度もかかることがあります。同じ夏に2回かかるお子さんもいらっしゃいます。
Q. 兄弟にうつさない方法はありますか?
完全に防ぐことは難しいのが正直なところです。ただし、タオルと食器を分ける、おむつ処理後の手洗いを徹底することで、感染の可能性を下げることは期待できます。
Q. お風呂やプールに入ってもいいですか?
熱がなく元気であれば、入浴は問題ありません。発疹をこすらないよう、やさしく洗ってあげてください。プールについては、水を介した感染よりもタオルの共用や密な接触による感染が問題になります。症状があるうちは控え、園の方針にも従ってください。
Q. 検査で診断はつきますか?
日常の診療では、症状と発疹の出方を診察することで診断します。特別なウイルス検査を行うことは通常ありません。ただし、ヘルパンギーナや水痘、溶連菌感染症など似た症状の病気との見分けが必要なこともあるため、気になる発疹は診察でご確認ください。
▶ あわせて読みたい:夏に流行する子どもの感染症/子どもの熱中症予防/子どもの虫刺されが腫れるとき
🏥 気になる発疹は、宇品のかかりつけ医へ
当院では内科・小児科として、お子さんから大人の方まで診療しています。宇品・元宇品・出島エリアの皆さまのかかりつけ医として、「受診すべきか迷う」という段階でのご相談も歓迎しています。ご家族まとめての受診も承ります。
うじな家庭医療クリニック
診療科目:内科・小児科・がん薬物療法・在宅診療
〒734-0003 広島県広島市南区宇品東6-2-47
TEL:082-256-4500
監修
瀬尾 卓司(せお たくじ)
家庭医療専門医・がん薬物療法専門医・総合診療指導医
うじな家庭医療クリニック 院長。内科・小児科・がん薬物療法・在宅診療を通じて、広島市南区宇品エリアの地域医療に取り組んでいます。
〒734-0003 広島県広島市南区宇品東6-2-47/TEL:082-256-4500
※本記事は一般的な医学情報の提供を目的としたものであり、個々の診断・治療を保証するものではありません。症状の経過には個人差があります。気になる症状がある場合は医療機関にご相談ください。