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がん患者さんに推奨されるワクチン:アメリカ腫瘍内科学会の推奨事項

がん患者さんは免疫力が低下していることが多く、感染症に対するリスクが高まるため、予防接種は非常に重要です。米国臨床腫瘍学会(ASCO)は、がん患者さんに推奨されるワクチンについて具体的なガイドラインを提供しています。以下に、ASCOの推奨事項に基づいて、がん患者さんが受けるべき主なワクチンについてご紹介します。

1. インフルエンザワクチン

推奨理由:インフルエンザは重篤な合併症を引き起こす可能性があるため、毎年の接種が推奨されます。
対象者:すべてのがん患者さん、特に治療中の方や免疫抑制状態にある方。

2. 肺炎球菌ワクチン

推奨理由:肺炎球菌感染症は、がん患者さんにとって重篤なリスクを伴うため、予防が重要です。
対象者:すべてのがん患者さん、特に65歳以上の方や特定の免疫抑制療法を受けている方。 ワクチンの種類:PCV13(13価肺炎球菌結合型ワクチン)およびPPSV23(23価肺炎球菌多糖体ワクチン)が推奨されます。

3. ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン

推奨理由:HPVは特定のがん(子宮頸がん、肛門がん、口腔がんなど)を引き起こすことが知られているため、予防接種が推奨されます。
対象者:9歳から26歳の男女。がん治療中の患者さんについては主治医と相談の上で決定します。

4. 帯状疱疹ワクチン

推奨理由:帯状疱疹は免疫抑制状態にあるがん患者さんにとって重篤な合併症を引き起こす可能性があります。
対象者:50歳以上のがん患者さん。生ワクチンではなく、不活化ワクチン(シングリックス)が推奨されます。

5. B型肝炎ワクチン

推奨理由:B型肝炎ウイルス感染はがん患者さんにおいて特に肝がんのリスクを増加させるため、予防接種が推奨されます。
対象者:肝炎ウイルスに対する免疫がない患者さん、特に化学療法や免疫療法を受けている方。

ワクチン接種の際の注意点

がん患者さんがワクチンを接種する際には、以下の点に注意が必要です:

  1. 主治医との相談:ワクチン接種は主治医と十分に相談し、治療スケジュールや健康状態を考慮した上で決定することが重要です。
  2. 生ワクチンの回避:免疫抑制状態にある場合、生ワクチンは避け、不活化ワクチンを選択することが推奨されます。
  3. 副反応の管理:ワクチン接種後の副反応については注意深く観察し、異常があれば速やかに医師に相談することが重要です。

がん治療を受ける患者さんにとって、適切な予防接種は健康を維持し、治療の効果を最大化するために不可欠です。

がんの専門医がいる当院ではいつでもがん治療効果を最大限引き出すための悩み相談を行います。がん診療外来から予約をお願いします。