医療コラム

  1. HOME
  2. 医療コラム
 

COLUMN医療コラム

抗がん剤治療中に避けたい10のこと

がんサバイバー外来担当の瀬尾卓司です。
本日はMDアンダーソンがんセンターのホームページに抗がん剤治療中に避ける10のこと!という記事があったので紹介させてもらいます。
抗がん剤治療中は何をやっていいのか悩まれる人もいますので、参考にしてください。
がんサバイバー外来では、何気ない不安や生活の相談などでも受診可能です。
オンライン診療も受け付けています。お気軽にご相談ください。

https://www.mdanderson.org/cancerwise/10-things-to-avoid-while-receiving-chemotherapy.h00-159615489.html

 

化学療法中に避けるべき10のこと

抗がん剤治療を受けている場合、副作用などを軽減させるために様々なことを試行錯誤していると思います。例えば、吐き気を和らげるためにキャンディーを持ち歩いたり、点滴中に快適に過ごすために温かい靴下を持参したりするなどです。
こういった対処法は化学療法室で看護師と話たり、患者さん同士の会話から学んでいっていると思います。

しかし、抗がん剤治療を受けている間に避けるべきことは何でしょうか?
積極的に避けるべきことは何でしょうか?
腫瘍内科のエイミー・ハッサン先生が答えてくれました。

  1. 生肉や生魚を食べない

生の動物性食品を食べると、サルモネラ菌や大腸菌などの食中毒リスクが高まります。化学療法中は免疫力が低下するため、そのリスクはさらに増します。幸いなことに、加熱によって多くの食中毒菌は死滅します。したがって、寿司や生牡蠣、レアステーキなどの生の食品は治療が終了するまで避けた方がよいとされています。抗がん剤の種類によっても変わったりするので主治医にも相談してください。

野菜や果物を生でも大丈夫ですが水洗いをしっかりとしましょう。しかし、白血病やリンパ腫のような免疫力が特に低下するような場合は、生の野菜や果物も避けるよう指示されることがあります。質問がある場合は、主治医に相談してください。

「さらに、料理が熱いうちに食べることが重要です。常温で長時間放置された料理は避けましょう」とハッサン医師は言います。「それ以外の制限はあまりありません。」

  1. がん治療の副作用を悪化させる可能性のある食品を避ける

硬い、辛い、酸性の食品は、化学療法の副作用として現れる口内炎を悪化させる可能性があります。したがって、治療中はこれらの食品を避けることをお勧めします。

「特にグレープフルーツは多くの薬と反応しやすく、一部の薬剤の効果を強めすぎたり、弱めたりするので避けた方が良いでしょう。」とハッサン医師は言います。
「しかし、オレンジを食べたりレモネードを飲んだりすることは害にはなりません。口内が特に敏感や痛みを感じる場合は、柑橘類を避けると良いでしょう。」

また、特定の種類の化学療法では、冷たい飲み物やスムージー、ソルベなどの冷凍食品を避けることが勧められます。特にオキサリプラチンが投与される場合には不快感が増すことがあります。

  1. 新しい薬やサプリメントを始めない

医師が処方した栄養補助食品を摂取することは問題ありません。がん患者はビタミン欠乏症を補正したり、食物の消化を助けたりするためにこれらを必要とすることがあります。しかし、新しいものを始める前に必ず主治医や看護師と相談してください。

「サプリメントは無害に見えるかもしれませんが、CBDオイル、ハーブサプリメント、さらにはメラトニンでさえ、他の薬剤、特にがん治療に使用される薬剤と相互作用する可能性があります」とハッサン医師は言います。「これにより、薬の効果が低下したり、危険になることさえあります。そのため、何か新しいものを始める前に必ず私たちと相談してください。」

  1. 喫煙や飲酒を避ける

飲酒を避けることは、いつでもがんリスクを低減するためにできる最も簡単なことの一つです。飲まないほど良いのです。これは特にがん治療中にも当てはまります。

「お酒は肝臓で分解されるので、避けた方が良いでしょう。」とハッサン医師は言います。「多くの抗がん剤も肝臓で処理されるため、肝臓により大きい負担をかける可能性があります。また、アルコールは脱水症状を引き起こしたり、吐き気が強くなったりといったがん治療に支障が出ることがあります。」

もし、どうしても飲みたい場合は、化学療法の点滴中や直前・直後には避けるようにしましょう。

「本当に特別な機会に限るべきです」とハッサン医師は説明します。「非常に特別な場合にとっておいてください。」

喫煙、その他のタバコ製品も体に悪影響を及ぼすため、避けましょう。
当院でも禁煙外来を行っていますので、ご相談ください。

  1. 過度の紫外線曝露を避ける

日中外出する際には日焼け防止用の服とSPF30以上の日焼け止めを着用し、日差しが最も強い時間帯を避けることが賢明です。

「多くの抗がん剤は日焼けを強くしてしまします。」とハッサン医師は説明します。  「したがって、日中の屋外で過ごす時間を制限しましょう。」

  1. 妊娠や化学療法の影響を避けるための性行為を避ける

抗がん剤治療は精子や卵子にダメージを与える可能性があるため、治療中は妊娠を避けることが重要です。また、抗がん剤が性行為を通じてパートナーに曝露されるのを防ぐために、コンドームなども使用することを推奨します。

「ほとんどの抗がん剤は48時間以内に体外に排出されますが、少量が体液中に残ることがあります」とハッサン医師は言います。

  1. 洗濯や掃除の際には介護者が注意する

抗がん剤治療中の家族がいる場合には洗濯する際には手袋をはめる必要があるかもしれません。

「抗がん剤治療を受けている場合、他の人が洗濯をする際には、手袋を着用する必要があります。」とハッサン医師は言います。
「家族に抗がん剤の内服薬などを用意してもらう時には、家族は手袋を付けて薬を取り出しましょう。指先から薬を吸収するリスクがあります。」

  1. 病気の人との接触を避ける

抗がん剤治療を受けていると、免疫系が正常に機能しないことがあります。そのため、感染症に対してより脆弱になります。特にRSウイルス、インフルエンザ、COVID-19などの呼吸器ウイルスが流行している時期には、マスクを着用するのが良いでしょう。

「発熱や咳など感染症をもっている可能性が高い時には、その方と接触するのは避けてください。」とハッサン医師は述べています。「手をしっかりと頻繁に洗うことも感染予防に非常に効果的です。」
RS
ウイルス、インフルエンザ、新型コロナウイルスのワクチン接種は当院でも可能です。がん治療中の方々はご相談ください。

  1. 過度に頑張りすぎない

抗がん剤治療の最も一般的な副作用の一つは疲労です。従来の生活を続けることが出来る人もいれば、家事すらままならなくなる人もいます。

「治療中に活動を続けることは大事ですが、疲れを感じたら十分に休むことが重要です。」

  1. 質問や懸念を自分だけで抱え込まない

抗がん剤治療を円滑に進めるための鍵は、あなたと主治医・看護師との良好なコミュニケーションです。

これが最も大事かもしれません。しかし、日本では主治医に見放されたら治療が出来なくなる。医師が言うのだから聞かないと・・・と疑問点や副作用の悩みを打ち明けられない場面もあります。私は、そういった方々の悩みや相談に乗りたいと、がん薬物療法専門医でありながら、開業医をしています。連絡をいただければ、診察日に合わせて予約を取りますし、オンラインでもOKです。何気ない相談から、セカンドオピニオンまで何でもご相談ください。少しでも、がん治療を納得してスケジュール通りに進められるように一緒に考えていきます。