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心不全と緩和ケア|最期まで自分らしく過ごすために
心不全の治療=治すことだけだと思っていませんか?
実は、心不全と向き合うためには「緩和ケア」がとても大切です。
この記事では、2025年改訂版『心不全診療ガイドライン』に基づき、
心不全における緩和ケアについてわかりやすくご紹介します!
緩和ケアって何?
緩和ケアとは、病気による苦しみをやわらげて、生活の質(QOL)を高めるためのサポートのことです。
心不全の場合、緩和ケアは「治療をあきらめる」という意味ではありません!
息苦しさ、痛み、不安などの症状を和らげる
気持ちに寄り添いながらサポートする
家族も一緒に支える
これらを病気の初期から続けていくのが、心不全の緩和ケアの特徴です
どんなときに緩和ケアを考えるの?
心不全が進行してくると、
息苦しさが強くなる
疲れやすくなる
食欲が落ちる
心細さ、不安感が増す
といった症状が出てきます。
こうしたつらさに対応するために、症状を和らげる治療やサポートが必要になります。
また、植込み型除細動器(ICD)や機械的なサポート治療についても、
続けるかどうかを本人や家族と一緒に話し合うことが大切になってきます。
「人生会議(ACP)」ってなに?
「もしものときに備えて、医療やケアについて事前に考えておくこと」を
アドバンス・ケア・プランニング(ACP)と呼びます。
どこで過ごしたい?
どんな治療を希望する?
家族に伝えたいことは?
本人の思いを大切にしながら、医療チームや家族と一緒に話し合いを進めます
🌸ポイント
ACPは「もう手遅れになってから」ではなく、
元気なうちから少しずつ話しておくことがとても大事です。
緩和ケアを受けるメリット
緩和ケアを取り入れると、次のような良い効果が期待できます。
息苦しさや痛み、不安がやわらぐ
家族の負担も軽くなる
「自分らしい生き方」ができる
最後まで dignified(尊厳をもった)生活ができる
まとめ|心不全と共に、自分らしく生きるために
心不全と診断されたら、
「治す」治療+「支える」緩和ケアの両方を考えていきましょう。
苦しみを我慢しないで相談する
自分の希望を早めに話しておく
家族も一緒に支えてもらう
どんな段階でも、あなたらしく生きるサポートが緩和ケアです。
わからないことがあれば、どうぞお気軽に医療スタッフにご相談くださいね!
ご家族のみなさまへ|緩和ケアは「大切な時間」を守るサポートです
大切なご家族が心不全と診断されたとき、
「もっと何かできることはないか」
「少しでも楽に過ごしてほしい」
そんな思いで胸がいっぱいになることと思います。
緩和ケアは、患者さんのためだけでなく、ご家族のためのケアでもあります。
苦しい症状をやわらげることで、患者さんとの時間が穏やかになります。
不安や悲しみを共有しながら、心のケアもサポートします。
ご家族だけで抱え込まず、医療チームと一緒に支え合うことができます。
緩和ケアは「最期のケア」ではありません。
今このときから、人生をよりよく生きるために始めるケアなのです。
どうか、迷ったり悩んだりしたときは、ためらわず私たちにご相談ください。
一緒に、温かく、やさしく、大切な時間を守っていきましょう。