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【はじめに:その咳、見過ごしていませんか?】
「風邪が長引いているのかも」「夜だけゼーゼーしている」
そんな症状が続いていませんか?
それはもしかすると、喘息のサインかもしれません。
喘息は子どもから大人まで幅広い年齢層に見られる慢性の気道炎症疾患であり、適切な管理が必要です。特に子どもの場合は、将来的なアレルギー疾患へと進展する「アレルギーマーチ」を止めるためにも、早期の診断と治療が重要です。
【アレルギーマーチとは】
「アレルギーマーチ」とは、アトピー性皮膚炎・食物アレルギー・喘息・アレルギー性鼻炎といったアレルギー疾患が年齢とともに次々に現れる流れのことを指します。
🧒 乳児期:アトピー性皮膚炎
🍽️ 幼児期:食物アレルギー
😮 小児期:喘息
🌼 学童期以降:アレルギー性鼻炎・花粉症
この「マーチ(行進)」を早期に止めることが、その後の生活の質を守るカギとなります。
【喘息治療の3本柱】
当院では、喘息治療の基本を以下の3本柱で構成しています:
環境整備(ハウスダスト・ダニ・ペットなどのアレルゲン対策)
吸入ステロイド薬(ICS)を中心とした長期管理治療
発作時対応薬(SABAなど)の適切な使用
これに加えて、近年注目されているのが**生物学的製剤(バイオ製剤)**です。
【生物学的製剤とは?】
従来の吸入薬や内服薬ではコントロールが難しい中等症~重症喘息に対して、分子レベルで炎症を抑える治療法です。
特定のサイトカイン(炎症性物質)や免疫細胞に作用することで、発作回数を劇的に減少させ、QOLを改善することが可能です。
【主な生物学的製剤の比較】
製剤名 | 標的分子 | 対象 | 特徴 | 保険適応年齢 |
---|---|---|---|---|
オマリズマブ(ゾレア) | IgE | アレルギー性喘息 | 抗原に対する過敏反応を抑制 | 6歳以上 |
メポリズマブ(ヌーカラ) | IL-5 | 好酸球性喘息 | 血中好酸球を減少 | 6歳以上 |
ベンラリズマブ(ファセンラ) | IL-5Rα | 好酸球性喘息 | 好酸球を直接枯渇 | 12歳以上 |
デュピルマブ(デュピクセント) | IL-4/13経路阻害 | 好酸球性喘息+アトピー性皮膚炎・ | 複数のアレルギー疾患にも有効 | 6歳以上 |
🧬デュピクセントはIL-4受容体αに作用することで、IL-4およびIL-13のシグナルを同時に抑えます。
この経路は喘息だけでなくアトピー性皮膚炎、鼻茸を伴う副鼻腔炎にも関与するため、複数疾患の併発例において非常に有用です。
【どの薬を選ぶ?】
治療薬の選択は症状のタイプ・血液検査の結果・併存疾患の有無などによって異なります。
IgE高値でダニなどのアレルゲン感作が強い → ゾレア
血中好酸球数が高く、発作を繰り返す → ヌーカラ・ファセンラ
アトピー性皮膚炎や慢性副鼻腔炎も合併 → デュピクセント
📌いずれも保険適応があり、専門医の診断・申請が必要です。
【当院でできること】
うじな家庭医療クリニックでは、
詳細な問診とアレルゲン検査(血液・皮膚テスト)
呼吸機能検査(スパイロメトリー)
必要に応じた生物学的製剤の導入とフォローアップ
を通じて、患者さんごとの最適な喘息管理をご提供しています。
また、皮膚症状や副鼻腔炎などの併存疾患への包括的な診療も行っています。
【まとめ】
喘息は、早期からの適切な管理と継続的なフォローがとても重要です。
「ただの風邪」「咳が長引いているだけ」ではなく、その背景にある慢性炎症を見逃さないことが、将来の健康を守る第一歩になります。
👨⚕️咳やゼーゼーが気になるときは、ぜひ当院にご相談ください。
最新の検査・治療体制でお待ちしています。