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広島市南区のうじな家庭医療クリニックでは、がん診療の一環として「運動療法」の重要性にも注目しています。最新の『New England Journal of Medicine』誌にて発表された国際共同研究(CHALLENGE試験)により、大腸がん術後の定期的な運動が生存率を有意に改善することが明らかになりました。
✅ 研究の概要と対象者
この研究は、術後に補助化学療法(FOLFOXなど)を受けた大腸がんステージIIIまたは高リスクII期の患者889名を対象に、以下の2群に無作為に割り付けて比較しました:
運動群:3年間にわたる構造化された運動プログラム+健康教育
健康教育群:健康教育のみ(運動支援なし)
📈 主な結果とグラフでの比較
生存率の比較
指標 | 運動群 | 健康教育群 | 差 |
---|---|---|---|
5年無再発生存率 | 80.3% | 73.9% | +6.4% |
8年全生存率 | 90.3% | 83.2% | +7.1% |
年間再発・死亡発生率 | 3.7% | 5.4% | -1.7% |
年間死亡率 | 1.4% | 2.3% | -0.9% |
筋骨格系の有害事象 | 18.5% | 11.5% | +7.0% |
💡 なぜ運動が有効なのか?
運動には以下のようながん再発予防効果があると考えられています:
肝臓転移の抑制(再発率:運動群 3.6% vs 健康教育群 6.5%)
新たながんの発症抑制(特に乳がん、前立腺がん、大腸がん)
免疫の活性化
インスリン抵抗性や炎症の軽減
がん細胞の微小転移制御
さらに、運動は体重減少にはつながらなくても、心肺機能や生活の質の改善につながることがわかっています。
🏃♀️ どんな運動をどれくらい?
この研究では、中等度以上の有酸素運動を週に150分以上(例:早歩き45分を週3~4回)行うことで効果が確認されました。
🏥 当院からのメッセージ
うじな家庭医療クリニックでは、がん診療後のリハビリや生活指導も大切にしています。術後の不安や体力低下に悩む方には、無理のない運動療法の導入をサポートしています。
「手術後どう運動を始めていいかわからない」「再発予防に何かできることは?」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。
※本記事は2025年6月1日発表のNEJM論文に基づいています。