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はじめに
乳がんの治療のなかで、ホルモン療法(内分泌療法)は再発予防にとても重要です。特に閉経後の女性に用いられるアロマターゼ阻害薬(アナストロゾール・レトロゾール・エキセメスタンなど)は、体内のエストロゲンを抑える一方で、多くの患者さんに関節痛や筋肉痛といった副作用が現れることがあります。
広島市南区・宇品にあるうじな家庭医療クリニックでも、「朝起きると手がこわばる」「膝や腰が痛くて歩きにくい」といったご相談をよくいただきます。この記事では、症状の原因や対策方法を、患者さんやご家族に分かりやすく解説します。
なぜホルモン療法で関節痛が起きるのか?
ホルモン療法とは?
乳がんはエストロゲンという女性ホルモンの影響を受けて増殖するタイプが多いため、このホルモンを抑える治療を行います。アロマターゼ阻害薬とは?
閉経後の女性に使われる薬で、体内でエストロゲンを作る酵素「アロマターゼ」をブロックし、エストロゲンを減らします。関節痛の原因
エストロゲンが減ることで骨や関節を保護する働きが弱まり、炎症やこわばり、痛みが出やすくなると考えられています。
実際には、服薬を始めて数週間~数か月以内に痛みが出る方が多く、全体の約半数の患者さんが何らかの関節症状を経験すると報告されています。
痛みへの対策
1. 運動療法
ウォーキングやヨガ、ストレッチ、太極拳
プールでの水中運動は関節に優しくおすすめ
2. 薬物療法
鎮痛薬(NSAIDs、アセトアミノフェン)を必要時に使用
デュロキセチン(抗うつ薬の一種)が有効な場合もあり
3. 補完療法
鍼治療やマッサージ、温熱療法で痛みが和らぐ方も
サプリメントは効果に個人差があり、必ず医師に相談を
4. 治療薬の変更
薬の種類を切り替えると症状が軽くなることがあります
自己判断で中止せず、必ず主治医に相談しましょう
Q&Aコーナー
Q1. ホルモン療法をやめたら痛みはなくなりますか?
A. 中止すると痛みが軽くなる方はいますが、再発予防のために治療継続が大切です。まずは痛みを和らげる方法を一緒に探しましょう。
Q2. 運動すると余計に痛くなりませんか?
A. 初めは痛みを感じることもありますが、続けるうちに関節が柔らかくなり、改善が見られるケースが多いです。無理のない範囲で続けましょう。
Q3. サプリや健康食品は効果がありますか?
A. グルコサミンや魚油などが試されていますが、科学的に有効性がはっきり証明されているものは少ないです。併用は必ず医師にご相談ください。
Q4. 痛みで日常生活がつらいときはどうすればいいですか?
A. 鎮痛薬や補完療法の利用、薬の切り替えなど選択肢があります。専門医と一緒に症状を軽減する工夫をしていきましょう。
当院でできるサポート
がん治療経験のある家庭医による診察
- 乳がんの術前・術後ホルモン療法、抗がん剤治療
在宅医療や外来でのフォローアップ
緩和ケア・サバイバーシップ外来での生活支援
広島市南区宇品エリアで「乳がんのホルモン療法中の関節痛・筋肉痛」でお困りの方は、ぜひ一度うじな家庭医療クリニックへご相談ください。
まとめ
乳がんのホルモン療法では関節痛や筋肉痛がよく見られます
運動、薬、補完療法などを組み合わせることで多くの方が症状を和らげられます
自己判断で治療をやめず、医師に相談することが重要です
🩺 がん治療中・治療後の生活でお悩みの方へ
当院では、がん治療に伴う副作用や再発予防、生活支援を行う「がんサバイバーシップ外来」を設けています。
また、治療方針の確認や他院での診療内容について相談できるセカンドオピニオン外来(自費)も対応しています。
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