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リンチ症候群とは?

リンチ症候群(遺伝性非ポリポーシス大腸癌症候群)は、家族の中で受け継がれる遺伝的な要因により、大腸がんや子宮内膜がん(子宮体がん)などのがんのリスクが高くなる病気です。聞き慣れない言葉かもしれませんが、適切な検査や予防を行うことで、がんのリスクを減らすことができます。

リンチ症候群とがんのリスク

この病気を持つ方は、次のようながんになりやすいことが分かっています。

  • 大腸がん:50歳未満で発症することが多く、一般的なリスクより高くなります。
  • 子宮内膜がん(子宮体がん):女性では特に注意が必要です。
  • その他のがん:卵巣がん、胃がん、小腸がん、膵臓がん、尿路がん、胆道がん、脳腫瘍などが発症することもあります。

どうやって診断するの?

リンチ症候群かどうかを調べるには、いくつかの方法があります。

  1. 家族の病歴を確認
    • ご家族の中に、大腸がんや子宮内膜がんを発症した方がいるかを確認します。
    • 「アムステルダム基準」という診断基準をもとに、3人以上の近い親族に関連するがんがあるかをチェックします。

アムステルダム基準とは?

アムステルダム基準は、リンチ症候群の診断に用いられる家族歴の基準です。以下の条件を満たす場合、リンチ症候群の可能性が高いと考えられます。

  • 3人以上の近親者(親、子、兄弟姉妹、祖父母、おじ、おば、いとこ)が、大腸がんやリンチ症候群に関連するがん(子宮内膜がん、胃がん、小腸がん、尿路がんなど)を発症している。
  • そのうち少なくとも1人は、患者の親または兄弟姉妹(第一度近親者)である。
  • 2世代以上にわたって発症している。
  • 1人以上が50歳未満でがんを発症している。
  • 家族のがんは、家族性大腸腺腫症(FAP)によるものではない。

この基準を満たす場合、遺伝カウンセリングや遺伝子検査を受けることが推奨されます。

  1. 腫瘍の検査(腫瘍スクリーニング)

    • すでにがんになった場合、その組織を調べて遺伝的な影響があるかどうかを調べます。
  2. 遺伝子検査

    • 血液や唾液を使って、特定の遺伝子(MLH1、MSH2、MSH6、PMS2、EPCAM)の変異があるかを調べます。
    • ご家族にこの変異が見つかった場合、他の家族も検査を受けることでリスクを知ることができます。

リンチ症候群と診断されたらどうするの?

リンチ症候群と診断された場合でも、適切な検査や予防をすることで、がんを早期に発見し、予防することができます。

大腸がんの予防

  • 定期的な大腸内視鏡検査:20〜25歳から1〜2年ごとに受けることが推奨されています。
  • がんの早期発見:便の検査や大腸CTなども活用できます。
  • 手術による予防:大腸がんになった場合、再発を防ぐために広範囲の手術を行うことがあります。

婦人科がん(子宮内膜がん・卵巣がん)の予防

  • 定期検診:30〜35歳以降、毎年の婦人科検診(内診、超音波検査、子宮内膜生検)を受けるのがおすすめです。
  • 予防手術:出産を終えた方や、高リスクと判断された方は、子宮や卵巣の摘出手術を検討することもあります。

その他のがんの予防

  • 胃がん・小腸がんの検査:2〜3年ごとに胃カメラを受けると安心です。
  • 尿路がんのチェック:毎年、尿検査を受けることで早期発見につながります。
  • 膵がんのリスク管理:膵臓MRIや内視鏡検査を受けることもあります。

こんな症状があったら、早めに受診を

リンチ症候群関連のがんは、初期症状が出にくいことが多いですが、以下の症状があればすぐに医療機関を受診してください。

  • 大腸がんのサイン

    • 便に血が混じる
    • 便の形が細くなる、回数が増える
    • 下痢や便秘が長く続く
    • お腹の痛みや違和感が続く
  • 子宮内膜がんのサイン

    • 生理とは関係のない出血がある(閉経後の出血など)
    • 生理が異常に長引く、量が多い
  • 卵巣がんのサイン

    • お腹の張りやむくみ
    • 体重の変化が急激に起こる
    • 消化不良や頻尿が続く

まとめ

リンチ症候群と診断されても、定期的な検診や適切な予防を行うことで、がんの発症リスクを下げることができます。

当クリニックでは、遺伝性がんに関する相談を受け付けています。ご家族に若年発症の大腸がんや子宮内膜がんの方がいる場合は、一度ご相談ください。私たちは、あなたとご家族の健康を守るために、最適なサポートを提供いたします。