医療コラム

  1. HOME
  2. 医療コラム
 

COLUMN医療コラム

がんサバイバーシップ外来の重要性について

今回は、がん治療後にがん薬物療法専門医がいる当院への通院を推奨する理由などを簡単に紹介します。

がん治療に伴う影響というのは数年後、数十年後にも出てきます。それを早期発見する、治療するのが大事ですが、日本ではまだまだ浸透していません。

 

倦怠感:倦怠感を訴える患者さんは治療後であっても多いです。治療終了して、ずいぶん経過したはずなのに・・・と言われる方もいます。倦怠感を取り除くための方法は鍼灸やヨガなど含めていくつか挙げられます。また、倦怠感がいかに挙げるような理由から来ていないかを見つけるのも必要です。

 

がんの再発、二次がん:昔は5年経過したら完治と言われていましたが、がん治療が進んだことなどからそれに当てはまらない患者さんも出てきました。抗がん剤や放射線の影響による二次がんもありますので、腫瘍内科がいる診療所で定期通院することが大事になってきます。

 

口腔ケア:抗がん剤治療や放射線により、歯のエナメル質や歯肉に影響が出ます。定期的な歯科チェックを心がけましょう。

 

糖尿病:抗がん剤治療にはステロイドが投与されることが非常に多いです。そのため、知らないうちに糖尿病になっているということも珍しくありません。治療終了後にも糖尿病発症するリスクが高くなっているので、定期的な検査を心がけましょう。

 

ホルモンの変化:乳がんや前立腺がんではエストロゲンやテストステロンなどのホルモンを抑制する治療があります。そのため、性欲減退・認知機能低下・貧血・筋肉量の低下・うつ状態・体重増加などの影響が出てくることがあります。

甲状腺機能低下症:甲状腺ホルモンが放射線や抗がん剤で低下することが知られています。体重増加、便秘、皮膚乾燥、冷え性などの症状が出てきます。

 

リンパ浮腫:リンパを手術などで摘出、生検したりすることで発症します。リンパ浮腫なのか、心臓からくる浮腫なのかなどを見極めることが必要です。

 

臓器障害:がん治療によっては、以下の臓器にダメージを与えるものがあります。

心不全:息切れや浮腫などが出てきます。

肺障害:分子標的薬や抗がん剤治療で肺や気管支にダメージがきます。

肝障害:抗がん剤治療によっては定期的な採血が必要なものもあります。

 

骨粗鬆症:骨粗鬆症もがん治療、がん治療後によく見られます。骨密度測定装置を用いた適切な検査、治療が必要です。

 

生殖機能低下:勃起障害や膣の乾燥など生殖機能が低下します。それぞれに対応することも可能ですのでご相談ください。

 

今回はがん治療に伴う様々な障害を紹介させていただきました。がん治療後の生活を満足するものにするためにも、がん薬物療法専門医・腫瘍内科がいる当院への相談、通院をいつでも検討ください。