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最新研究が明らかにした重要な事実
2025年11月1日、米国の医学誌「JAMA Network Open」に発表された最新研究により、中等度から重度の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)が脳内の微小出血のリスクを高めることが明らかになりました。
この研究結果は、「いびきくらい大丈夫」「CPAP装置は面倒だから」と治療を後回しにしている方々に、睡眠時無呼吸症候群の治療の重要性を改めて伝えています。
脳の微小出血とは?
脳の微小出血は、加齢とともに増加する脳内の小さな出血です。マヨークリニック医科大学のジョナサン・グラフ=ラドフォード教授(神経学)によると、微小出血がある人は、将来的に以下のリスクが高まります:
- 脳卒中のリスク増加
- 認知機能低下の加速
- 認知症やアルツハイマー病の発症リスク上昇
ハーバード医科大学のルディ・タンジ教授は、「微小出血を増加させるものはすべて、脳の老化に関連する」と指摘しています。
睡眠時無呼吸症候群の「二重のダメージ」
睡眠時無呼吸症候群を放置することは、脳に「二重のダメージ」を与えます:
質の良い睡眠が得られない
睡眠中に呼吸が妨げられることで、深い睡眠が得られず、脳の老化が進行します。微小出血のリスク増加
今回の研究で明らかになった脳の微小出血により、将来的な認知症リスクがさらに高まります。
こんな症状はありませんか?
以下の症状がある方は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります:
✓ 大きないびきをかく(家族に指摘される)
✓ 睡眠中の呼吸停止や息苦しさ(パートナーが気づくことが多い)
✓ 夜間の発汗
✓ 夜中に2回以上目が覚める
✓ 歯ぎしり
✓ 朝起きたときの頭痛
✓ 日中の強い眠気や疲労感
うじな家庭医療クリニックでできること
当クリニックでは、睡眠時無呼吸症候群の診断と治療をトータルでサポートしています。
1. 詳細な問診と検査
睡眠時無呼吸症候群の疑いがある方には、適切な検査をご案内し、正確な診断を行います。
2. 個別化された治療プラン
患者さまの症状の重症度や生活スタイルに合わせて、以下のような治療法をご提案します:
- CPAP療法(持続陽圧呼吸療法)
- 口腔内装置
- 生活習慣の改善指導
- 必要に応じた専門医療機関への紹介
3. 遺伝子検査で将来のリスクを予測
当クリニックでは、睡眠時無呼吸症候群の検査と合わせて、遺伝子検査を受けることができます。
遺伝子検査により、以下のことが分かります:
- 認知症やアルツハイマー病の遺伝的リスク
- 脳卒中や心血管疾患のリスク
- 生活習慣病の発症リスク
- 薬剤の効果や副作用の個人差
睡眠時無呼吸症候群の治療と併せて遺伝子検査を行うことで、より包括的な予防医療プランを立てることができます。
4. 継続的なフォローアップ
治療開始後も、定期的に効果を確認し、必要に応じて治療法を調整します。24時間365日の在宅医療体制も整えているため、安心して治療を継続していただけます。
「あとで」ではなく「今」始めることの重要性
タンジ教授は警告しています:「30代や40代で睡眠時無呼吸症候群を放置し、治療を受けないまま10年が経過すると、選択肢がなくなり、その時点では健康状態がかなり悪化している可能性があります」
睡眠時無呼吸症候群による脳へのダメージは、静かに、しかし確実に進行します。早期発見・早期治療が、将来の脳の健康を守る鍵となります。
まずはご相談ください
いびきや日中の眠気が気になる方、ご家族から睡眠中の呼吸停止を指摘されたことがある方は、お気軽にご相談ください。
うじな家庭医療クリニックでは、がん診療の専門家として培った総合的な医療知識と、地域に密着した家庭医療の視点から、患者さま一人ひとりに最適な予防医療を提供しています。
遺伝子検査を含む自費診療の予防医療サービスについても、詳しくご説明いたします。
※睡眠時無呼吸症候群の検査や治療は保険診療で対応可能です
※遺伝子検査は自費診療となります
参考文献
- JAMA Network Open, November 2025
- CNN Health, “Maybe you hate your CPAP, but not treating sleep apnea could risk micro brain bleeds”