医療コラム
- HOME
- 医療コラム

COLUMN医療コラム
はじめに
乳がんは女性に多いがんの一つですが、「こういうこともあるんだ」と知られていないポイントがいくつかあります。早期発見や生活習慣の見直しにつながる知識を、うじな家庭医療クリニックの視点でまとめました。
1.“しこり” だけが乳がんのサインではない
乳がんと聞くと「乳房にしこりができる」ことをまず思い浮かべますが、初期の段階では無症状であることが多く、以下のような異変が現れることもあります:
乳房・わき・鎖骨まわりの腫れ
皮膚の赤み、皮膚の厚みの変化、ざらつき(peau d’orange)
乳房の温かさやかゆみ
乳首の変形(くぼみ、ひきつれ)、乳首の皮膚のはがれやフケのような状態
乳頭からの分泌液
これらが気になる場合は、自己判断せずに専門医の診察を受けましょう。
2.男性の親族にも要注意 ― 家系の男性の乳がんがリスク要因に
父親、兄弟、息子など、男性の親族に乳がんの経験がある場合、その家系には BRCA1 や BRCA2 といった遺伝子変異がある可能性があります。これらの変異があると、乳がんを発症するリスクが上がるため、以下を検討すると良いでしょう:
遺伝子検査を受ける
高リスクの乳がん検診プラン(マンモグラム・MRIなど)の相談
うじな家庭医療クリニックでも、家族歴をお聞きして必要に応じて専門医へ紹介しています。
3.閉経後の体重管理がカギ ― 健康的な体重を保つこと
閉経後は体内ホルモンバランスの変化や脂肪組織の増加が関係して、乳がんリスクが高まる傾向があります。体重増加を防ぎ、健康維持することが重要です。
効果的な対策例:
バランスの良い食事(野菜・果物・豆類・全粒穀物・良質なたんぱく質)
週150分程度の中強度の運動+週2回の筋力トレーニング
アルコールの摂取を控える
4.自己検診より“乳房の気づき(breast awareness)”を重視する
毎月定期的な自己検診を厳密に練習する必要はない、という研究結果があります。重要なのは、「普段と違う変化」に気づいて早く受診することです。
“乳房の気づき”のポイント:
見た目の左右差や皮膚の形の変化に注目
胸を上げたときなど、姿勢を変えたときの見た目の変化
入浴時や着替えの際、手が触れたときの違和感
気になることがあれば、遠慮せずクリニックへご相談ください。
5.アルコール摂取も無視できない危険因子
アルコール(お酒)は、全身への影響のほか、乳がんリスクを上げる要因の一つです。少量であっても、アルコール摂取は身体内で アセトアルデヒド という発がん性のある物質を生むなどの作用があります。
飲酒をするなら頻度・量を抑える
アルコールフリーの日を設ける
総括:早期発見 + 生活習慣の見直しで乳がんリスクを下げましょう
これら5つのポイントを知っているかどうかで、乳がんの早期発見や予防の意識が変わります。うじな家庭医療クリニックでは、以下のサポートを行っています:
家族歴・生活習慣についての問診
高リスクと判断された方の専門医紹介
定期検診・マンモグラム・必要時の画像診断の案内
生活習慣改善のアドバイス(栄養、運動、アルコール等)