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がんの診断を受けたけれど、原発(最初にできた場所)がわからない――そんな「原発不明がん(Cancer of Unknown Primary Site: CUP)」という病気をご存知でしょうか?
うじな家庭医療クリニックでは、がん診療の一環として、この難解ながんにも対応した診療体制を整えています。今回は、最新の医学論文をもとに、原発不明がんの特徴・診断・治療についてわかりやすく解説します。
◆ 原発不明がんとは?
原発不明がんは、転移があるにもかかわらず、どこから発生したのか(原発巣)が特定できないがんのことです。全がんの約2~4%を占め、年々その発生率は減少しているものの、依然として重要な診療課題です。
◆ どんな症状で見つかる?
症状は多様ですが、腹部の膨満感、リンパ節の腫れ、骨の痛みなど、複数の臓器にわたる転移がきっかけで発見されることが多いです。検査では、血液検査、CT、PET、内視鏡、生検(組織検査)などを用いて徹底的に調べます。
◆ 診断の流れ
STEP 1:身体診察と血液検査
腫瘍マーカー(CEA, CA125など)や貧血、炎症反応をチェック。
STEP 2:画像検査(CT・PET)と内視鏡
全身をくまなく確認。
STEP 3:病理診断と分子プロファイリング
免疫染色(CK20, CDX2など)やゲノム解析でがんの性質や原発巣の推定を行います。
➡ 最新の知見では、「免疫による原発腫瘍の消失」や「診断技術の限界」も関与していると考えられています(図4参照:p.4)。
◆ 治療の選択肢
🔹 部位特異的治療(site-specific therapy)
原発が「大腸がん様」などと推定される場合は、その治療ガイドラインに準じた化学療法(例:FOLFOXIRI)を行います。
🔹 経験的化学療法(empirical chemotherapy)
原発が不明な場合は、プラチナ製剤+パクリタキセルやジェムシタビンなどの汎用レジメンを使用します。
🔹 分子標的治療・免疫療法
BRAF遺伝子変異、MSI-High、HER2陽性などが判明した場合は、それに適した分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬が使用されます。
◆ 今後の展望とクリニックの取り組み
原発不明がんは依然として診断・治療ともに難易度が高い病気ですが、ゲノム医療やAIを活用した診断技術の進歩により、治療の個別化が進んでいます。特に、治験や専門施設との連携が治療選択肢の幅を広げます。
うじな家庭医療クリニックでは、必要に応じて専門施設への紹介や遺伝子解析検査の実施も可能です。気になる症状がある方や、診断に至らず不安な方は、ぜひお気軽にご相談ください。
◆ 原発不明がんに関するQ&A
Q. 原発不明がんは治るの?
A. 一部の「予後良好型」に分類されるケースでは治癒も見込まれますが、多くは進行がんであり、治療の主目的は症状緩和と生活の質(QOL)の維持となります。
Q. 遺伝子検査は保険で受けられますか?
A. 現時点では保険適用外のケースが多く、自由診療となる場合があります。詳しくは当院にてご案内いたします。
📍 広島市で原発不明がんのご相談は「うじな家庭医療クリニック」へ
がん診療の専門知識と、地域に根差した安心感。うじな家庭医療クリニックでは、最新の医学的知見を活かし、患者さま一人ひとりに寄り添った診療を提供いたします。