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免疫療法と副作用について
近年、がん治療で広く使われているのが 免疫チェックポイント阻害薬 です。
患者さん自身の免疫の力を高めて、がんと戦う力を引き出す薬ですが、副作用として 腸炎(お腹の炎症) が出ることがあります。
一方で、日常的に使われるお薬に PPI(プロトンポンプ阻害薬) があります。これは胃酸を抑える薬で、逆流性食道炎や胃もたれに処方されることが多いものです。
最新研究のポイント
米国のがん専門誌 JNCCN(2025年7月号) に発表された研究では、
免疫療法を受けている患者さんが PPIを使っていると、腸炎が重症化しやすい
さらに、生存期間が短くなる傾向 がある
ことが分かりました。
つまり、胃薬としてよく使われるPPIが、免疫療法の効果に悪い影響を与える可能性がある、ということです。
なぜそんなことが起きるの?
まだ詳しい理由は分かっていませんが、
PPIが腸内細菌のバランスを乱す
免疫の働きに思わぬ影響を与える
といった仕組みが考えられています。
腸内環境と免疫は密接に関係しているため、胃薬のような一見無関係なお薬も、がん治療に影響を与えることがあるのです。
当クリニックの考え方
うじな家庭医療クリニックでは、がん患者さんを地域で支える立場から、以下の点を大切にしています。
PPIの使い方を慎重に
必要なときだけ、最小限の期間で。代わりのお薬も検討
胸やけが軽い場合は、H₂ブロッカーなど別のお薬を検討することもあります。早めの相談
免疫療法中にお腹の調子が悪くなったら、自己判断せずにすぐ医師に相談してください。チームで対応
がんの主治医、薬剤師、家庭医が連携してサポートします。
まとめ
胃薬として広く使われる PPI が、がん免疫療法中には副作用や治療効果に影響を与える可能性があることが分かってきました。
全ての患者さんに当てはまるわけではありませんが、「本当に必要かどうか」 を考えながら使うことが大切です。
当院では、地域の患者さんが安心してがん治療を続けられるよう、薬の使い方を含めて丁寧にサポートしています。
👉 がん治療や日常のお薬について不安がある方は、広島市南区・宇品のうじな家庭医療クリニックまでお気軽にご相談ください。