医療コラム

  1. HOME
  2. 医療コラム
 

COLUMN医療コラム

「“体重”より“体脂肪”を見る時代へ―新しい肥満の定義と当院の診療」

肥満は「体重が重いこと」ではなく、体脂肪(脂肪量)が過剰かどうかで評価する時代になりました。2025年に国際的な提言が出され、肥満は2つ以上の指標(例:CTと腹囲)や画像(内臓脂肪量など)で判断し、臓器への影響があるかで「臨床肥満」と「前臨床肥満」に分類します。

当院では、身長・体重・腹囲を毎回測定し、必要に応じてウエスト/ヒップ比・ウエスト/身長比もチェックします。日本の目安BMI25以上、腹囲は男性85cm以上/女性90cm以上。数値が同じでも体脂肪の付き方で健康リスクは大きく変わるため、腹囲の“見える化”がとても重要です。

こんな症状・病気にご用心
・高血圧、脂質異常、血糖異常/糖尿病、脂肪肝、慢性腎臓病
・睡眠時無呼吸、心不全、心房細動、血栓症(DVT/PE) など
気になる方には、血液検査、心エコー、睡眠検査、肝エラストグラフィ(脂肪肝・肝臓の硬さを数値化します)などを適切にご案内します。

生活改善の3ポイント

  1. 食事:野菜・果物・全粒穀物・魚/鶏・良質な油を中心に、超加工食品・砂糖・塩分を控えめに。1日500–750kcalのマイナスを目安に。

  2. 運動中等度150分/週(または高強度75分/週)+毎日の歩数を増やしましょう。体重が大きく減らなくても心臓の健康には大きなプラスです。

  3. 治療の選択肢:生活だけで難しい場合、内服治療減量手術の選択肢も。適応や保険適用は個別にご相談ください。

 

「前より太った気がする」「健診の腹囲が気になる」—そんな時は、“体脂肪に注目した”チェックを受けにいらしてください。数字だけに振り回されず、臓器への影響まで一緒に確認していきましょう。

当院