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近年、がん治療は「個別化医療(Precision Medicine)」への転換期を迎えています。2025年11月28日、京都大学病院が「一次治療開始前に遺伝子パネル検査を行った切除不能進行・再発固形がん患者で、生存期間の延長と死亡リスク減少が確認された」と発表しました。京都大学医療情報学部+2毎日新聞+2
この結果は、がん診療の選択肢を広げ、患者さんにとって「希望ある治療の可能性」を大きく高めるものです。当院でも自費の遺伝子検査を提供していることから、この最新科学にもとづいた「検査の意義」を改めてお伝えしたいと思います。
■ がん遺伝子パネル検査とは
がんは遺伝子の異常(変異/遺伝子発現異常など)によって引き起こされる病気。これを1〜数個ずつ調べる方法もありましたが、最近は次世代シークエンサー(NGS)を用い、一度に多数のがん関連遺伝子を網羅的に解析する「がん遺伝子パネル検査」が可能になりました。京都大学医療情報学部
この検査により、“どの遺伝子がどう異常か”を明らかにし、それに合った治療(分子標的薬、免疫療法など)や臨床試験への参加可否を判断できるようになります。
■ 京都大病院の新しいエビデンス — “早期検査”の意義
従来、日本では遺伝子パネル検査は保険適用されても、「標準治療が終了した後(または標準治療がなくなった場合など)」に限定されるのが常でした。これには、治療歴や体調の問題により“適切な治療にたどり着けない”リスクがありました。京都大学医療情報学部+1
しかし今回、がんが確定した時点(つまり“治療前=一次治療開始前”)で遺伝子パネル検査を実施したところ、
・エキスパートパネルで「推奨できる治療」が約 61%の患者で認められた。京都大学医療情報学部
・実際に約 23%の患者が推奨治療を受けられた。これは、従来の保険適用の検査条件で治療を受けられた割合(約8.2%)の約2.8倍に相当する。京都大学医療情報学部+1
・しかも、推奨治療を受けた患者の全生存期間は、有意に延長し、死亡リスクは41%低下した。京都大学医療情報学部+2日刊薬業 – 医薬品産業の総合情報サイト+2つまり、「診断がついた時点で遺伝子検査を行う」ことで、より多くの患者さんが“効果が期待できる選択肢”を早期に得られ、結果として生存期間の改善につながる可能性が高まる、ということです。
■ なぜ当院で“自費の遺伝子検査”が重要か
日本ではまだ保険診療下で「初回治療前のCGP検査」はほとんど認められていません(再発時や標準治療後が多い)。つまり、多くの患者さんにとって「遺伝子検査を受ける機会」が制限されています。
当院が提供している自費の遺伝子検査は、“タイミング”や“対象”を患者さん・医師間で柔軟に選択できるため、今回のような「早期検査の恩恵」を享受する可能性があります。
特に当院のように、がんサバイバーシップや予防医療、がんフォローアップ、ゲノム医療の導入を視野に入れたクリニックにとって、遺伝子検査は「治療方針選択だけでなく、将来の治験参画・予後改善・QOL維持」に向けた重要なツールとなります。
■ ただし考慮すべきこともある — 説明と選択の重要性
遺伝子パネル検査を受けても、必ずしも「推奨治療」がみつかるとは限りません(61%が“候補あり”、そのうち約23%が実際に治療を受けた、という報告)京都大学医療情報学部+1
また、検査結果によっては遺伝子変異が認められなかったり、既存の治療・薬が適応外であったりする可能性もあります。
だからこそ、患者さんごとにきちんとメリット・デメリットを説明し、納得した上で遺伝子検査を選ぶ必要があります。
■ 当院の想い — 「一人ひとりに最適な治療を、最適なタイミングで」
当院では「がんサバイバーシップ外来」「ゲノム医療」「予防医療」「トータルヘルスケア」を包括するクリニック運営を目指しています。今回の京都大病院の報告は、まさに私たちが目指す「個別化 × 早期介入 × 継続サポート医療」の価値を裏付けるものです。
もし遺伝子検査についてご興味・ご不安があれば、いつでもご相談ください。私たちは、患者さん一人ひとりの人生、価値観、ライフスタイルを大切にしながら、「最適な医療の扉」をともに考えていきたいと思っています。