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「がんは病院だけで診る時代ではない」 ― かかりつけ医が果たす、もう一つのがん診療 ―

はじめに|がん診療は「治療」だけでは支えきれない

がんと診断された瞬間から、患者さんの生活は大きく変わります。
検査、治療、通院、体調の変化、そして将来への不安。

こうした現実のなかで、
「がんは病院で治療し、地域では生活を支える」
という考え方が、近年ますます重要になっています。

実際に、PRESIDENT Onlineでも

がん医療は「病院完結型」から「地域連携型」へ
という視点で、非常に本質的な記事が紹介されています。

▶ 参考記事(外部リンク):
PRESIDENT Online|がん患者が「かかりつけ医」を持つべき本当の理由
https://president.jp/articles/-/105916?page=3

この記事の内容は、私たちが日々、宇品で実践している医療とも強い親和性があります。


専門病院と「かかりつけ医」は対立しない

PRESIDENTの記事の中で強調されているのは、
「専門病院か、かかりつけ医か」という二者択一ではない
という点です。

  • がんの診断・治療 → 専門病院

  • 日常の体調管理・生活支援 → かかりつけ医

この役割分担があってこそ、
がん治療は患者さんの人生に無理なく組み込まれます。


がん診療において、かかりつけ医ができること

① 治療中の「小さな変化」を早く拾う

抗がん剤治療や放射線治療の期間中、患者さんには

  • 発熱

  • 倦怠感

  • 食欲低下

  • 下痢・便秘

  • 不眠や不安

など、日常生活に直結する症状が起こります。

これらは
「すぐに専門病院へ連絡すべきもの」
「地域で経過を見られるもの」
が混在しています。

かかりつけ医は、その最初の相談窓口として機能します。


② がん以外の病気も同時に診る

PRESIDENTの記事でも触れられているように、
がん患者さんの多くは

  • 高血圧

  • 糖尿病

  • 心臓・腎臓の病気

といった慢性疾患を抱えています。

専門病院では、どうしても
「がん治療が中心」
になりますが、かかりつけ医は

👉 一人の人として、全身を診る

役割を担います。


③ 「生活」や「気持ち」の相談先になる

がん診療では、医学的な判断だけでなく、

  • 仕事を続けられるか

  • 家族にどう伝えるか

  • 今後の生活をどう考えるか

といった悩みが必ず出てきます。

こうしたテーマは、
短い診察時間の中では話しづらいことも少なくありません。

地域のかかりつけ医は、
継続して話を聞ける医師として寄り添います。


宇品で実践する「がんも相談できるかかりつけ医」

当院では、
「がん治療を行う医療機関」ではありません。

しかし、

  • がん治療中の体調管理

  • 専門病院との連携

  • 治療後のフォローアップ

  • がん以外の慢性疾患管理

を通して、
がん診療を地域で支える医療を行っています。

▶ 当院のがん診療に関する取り組みはこちら:
がん治療中・治療後を支える家庭医療
https://ujina-family-clinic.com/menu/cancer-exam.html


「何かあったら、まず相談できる医師」がいる安心感

PRESIDENTの記事が伝えている最も大切なメッセージは、
「がんになっても、一人で抱え込まなくていい」
ということだと感じています。

  • 専門病院で治療を受けながら

  • 地域で、顔の見える医師に相談できる

この体制があることで、
がんと向き合う日常は大きく変わります。


まとめ|がん診療は「病院 × 地域」で支える時代へ

がん医療は、
「高度な治療」だけでは完結しません。

生活の中で続いていくからこそ、
地域のかかりつけ医の存在が重要になります。

宇品という地域で、
がん治療を受ける方とそのご家族が
安心して日常を送れるよう、
これからも専門病院と連携しながら診療を続けていきます。